第5話
彼女は何者なんだ?一声で、相手を操った?
「あなた達は、この人の護衛になってね。ちゃんとご飯もあげるから。」
彼女は犬擬きを諭すように声を発した。 犬擬きはまだ静止したままだ。
「ん。動いていいよ。」
彼女か口を動かすと、犬擬きは動き始めた。
「クゥゥン」
さっきの獰猛さが嘘のようにおとなしい。彼女は人ではないのか?
「...............?」
彼女には届かない。しかし、答えは返ってきた。
「わたしね、人と、吸血鬼ヴァンパイアのハーフなの。怖い?」
どうりで俺を軽く抱き上げたり、飛んだり出来たわけだ。俺は、そんな彼女に恐怖感は抱かなかった。逆に、好感を持てた。
「........!」
「ありがと。」
彼女は俺の体を元に戻した。頭と身体はくっつき、砕けた部分も治っている。すげぇ。俺の手を握り、歩き出す。その時にふと見えた眼には、もう十字架は消えていた。
「グルルル!」
犬擬き達が後をつけてくる。彼女が純人間では無いことより、犬擬きが従順なワンコになったことの方が驚いた。
「その子たちの種族名はヘルビーストって言うの。わたしは、ルビーって呼んでる。」
そこの文字を取るのか。見た目とは似ても似つかない呼び方だぜ。
「じゃ、この子達の見た目変える?」
そんなことが出来んのか。じゃあ、赤眼の狼がいい。ルビーという名に相応しい眼、そしてかっこいい狼を組み合わせれば、名前負けはしねぇだろ。
「分かった。変わって。」
犬擬きは眩い光に包まれ、軽く浮いた。光がだんだんと消えていく。例えるなら、某人気ゲームのモンスターが進化するときみてぇだ。
「可愛くなったね。あと、かっこいい。」
完全に光が消えた。そこには、さっきとは比べ物にならないほど、凛々しい狼がいた。
「わん!」
「......!」
思わず驚いてしまった。見た目とは裏腹に可愛い声出すんだな。このギャップがまたいい。
「よし。お家帰ろ。」
彼女は俺と、犬擬き........いや、ルビー立ちを連れて、家へ向かった。
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