第4話
俺は草の上に落とされた。意外とふわふわしていて衝撃はなかった。
「........!」
威嚇をしてみたが、俺のことをおやつとしか見てないらしく、ヨダレを垂らしたままだ。
「ガウ?」
一匹の犬擬きがこちらに向かってくる足音にきずいたらしく、首を上げ、不思議がっている。
「キャン!」
俺は声のする方へ向いた。そこには、犬擬きと、数匹のスモール犬擬きがいた。ノーマル犬擬きと比べ物にならねぇほどキュートだ。
「........?」
俺は、無性にもふもふをしたくなった。そんなことをしたら喰われるだろう。いや、いつか、は喰われる。なら、せめてもふりてぇ。
「........!!!」
俺は瞬時に立ち上がり、手を伸ばした。瞬間、腕が取れた。
「ガルルル!」
俺の腕を取った奴は、俺の腕を振り捨てると、低く唸った。
「........!」
俺はもふりてぇんだ。そう体で表現した。だが、威嚇行為判断されたれたらしく、襲いかかってきた。
「ガウ!」
襲いかかってくるのは一匹だ。周りの奴らは、寝たり、食べたりしている。おもちゃで遊んでるようしにか見られてないのか?
「ガウ!!!」
相手の腕が俺の頭にクリーンヒットした。
「........!?」
視界が回転する。頭が取れたらしい。痛みは感じない。
「グルル」
体が動かない。俺は、頭で転がるしかなかった。
「........」
あいつは動かない俺の体を噛み砕く。胸の紅い石を喰われたらやべぇ気がした。
「........!」
俺は勢いをつけ、食っている奴めがけて転がった。
「?」
ひらりと躱された。ヤバイ。喰われる。
「ガウガウ」
何事もなかったかのように、俺の骨を喰う。
「ガウ!」
一匹のノーマル犬擬きが、スモール犬擬きに俺の骨をあげている。
「クゥーン」
まだ歯が揃っていないのか、噛み砕けずにいる。悔しいが、可愛いと思ってしまった。クソッ。
「ガゥルルルルル」
なんかやべぇやつが来た。明らかに他のやつよりでけぇ。
「ガオッ!」
俺の方へ向かってきた。息があるのを確認しに来たのか?
「ガルルルルルルル」
裂けそうなくらい口を開き、俺を喰おうとする。トドメを兼ねているのか?だが、俺に今出来るのはねぇ。転がったところで、無駄だ。
「........!」
とりあえず無い目で睨んだ。........効果はねぇ。また死ぬのか。
「どこ?」
幼い声が聞こえた。この声は........
「あっいた。こんなとこにいたの?」
今来たらまずい。喰われちまう。やめろ。
「グルルルルルルルル」
犬擬き達は立ち上がり、彼女の方を向く。そして威嚇した。
「あなたたちに用はないの。そこの人に用があるの。」
「ガルルルルルルル!」
犬擬きに言葉は通じなかった。大地を蹴ると、彼女に素早く襲いかかった。殺されちまう。クソッ、俺に力があれば。
「とまって。」
彼女がそう言うと、犬擬きの動きが止まる。飛び上がっていたものも、空中で静止した。
「........!?」
俺は驚くことしか出来なかった。彼女の眼の中には、紅い十字架があった。
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