第9話 机は四角い
「円卓会議を始めようか!」
どこかでそれ聞いたことあるぞ。シュタ・・・・。
と言うわけで放課後始まったわけだがテーブルの上にはお菓子とジュースが載っている気がするのだが何故だろう。食べていいのかな、ちょっと小腹空いてたんだよね。ほらっ男子高校生だし。育ち盛りって言うじゃん。
「まぁ今日は入部祝いも兼ねて食べながら話そうと思ってな。さっき俺と中山で購買部に行って買って来たんだよ」
お菓子で懐柔されるものかと思いつつまぁ食べたからと言って『はい!入部決定!』とか言いそうなのは1人ぐらいだろうし大丈夫だろう。
佐竹先輩に手渡された白濁色の飲み物もとい乳酸菌飲料を受け取りふたを開ける。
「とりあえずジュースだけど乾杯しようか。では葛城の・・・」っと言いかけたところで神坂先輩の横やりが入る。
「それは部長である私の仕事だ!」
ちょっと影薄くなってましたもんね。仕事してないから。
「では諸君!葛城誠一郎君の健康と入部とこの部のさらなる発展を祝って乾杯!!」
早いな、そして仮入部だし、まだ部じゃなくて同好会だし。そう思いながら飲み物を口にする。空きっ腹に甘く爽やかな味が染みる。これが青春の味というやつか、俺は青春成分に関してはこれで満足だよ。
「あっ!!飲んだな!はい、入部決定!もうやめられませーん!」
うわっ、この人ほんとに言っちゃったよ。
「それは置いといてラノベ研のことだが・・・」
そして無視する佐竹先輩かっけー。
「とりあえず知名度向上目指すならポスター作るとかビラ配りが妥当じゃないですか?」
ポテチを食べながら誰でも思いつきそうなことを言う。言ってから今の俺、アホっぽいなと1人自暴自棄になる。
「そうよね。べただけどそれが王道な感じするわね」
俺と中山先輩の意見に不満があるのか神坂先輩はコーラの蓋を弄っている。あっ開けられないのね。
「貸してください」
奪うようにコーラを取りキャップを捻る。プシュっという音とともに泡が零れそうになる。
嬉しそうにそれを手に取り3分の1ほど飲み干すと大きなゲップをかまし立ち上がる。
「それでは我々の存在意義を失う。我々の仕事はただ彼らを助けるのではない。学校が楽しくならないとダメなんだ」
「まぁ今までそんな大層なこと無くただのボランティアしてきた身としてはそれも言い切れないがな・・・」
あっさり裏切られとる。
佐竹先輩に裏切られしょぼんとする部長はちょっとだけ可愛い。喋らなければ可愛いのだ。
「何かラノベ研の面白さをアピールする場があればいいんですけどね」
あーでもないこうでもないと大して中身のない。大体は脱線、大事故の会話を続けあっという間に下校時間になる。
「私のターン!ドロー!」
なんかUNO始まっちゃったし・・・しかも部長めちゃくそ弱い。声だけでかい。
今日はだめだな。明日から頑張る。ほら、歓迎会だし、仮入部だけど。
「はい、あがり」
「まて!哲也!」
だめだこの人たち全然やる気ない。あがりのカードを出しポテチを食べる。
「さていい勝負だったな」
何言ってんの?この人全敗じゃん。
「体も温まっただろ?誠一郎君!何かいいアイデアは思いついたかな?」
まったくの不意打ちに何も答えが出ない。仕方がないのでホワイトボードに書き連ねられた30分ほどでひねり出されたアイデアをカンニングする。
「まぁチラシからでいいんじゃないですか。いろんなパターンのチラシ配って食いつきいいのを調べるとか」
「悪くないアイデアだな!やるじゃないか今年のルーキーは」
どうもありがとうございます。そして戦力外通告して頂いても結構ですが。
「そうだね。悪くないかもしれないね」
明らかにUNOとポテチとコーラに脳を汚染された先輩方は思考が退化しており適当な案に乗っかろうとしている。本当にこんな適当な部が存在していいのだろうか。そして何を思って太一君はこの部に俺を誘導したのだろうか。
「そうだな。ただのチラシじゃなくていろんなパターンを仕込むってのは悪くないかもしれないな」
そう言ってまるで後輩の意見を尊重しているようだがそれは違うのを俺は知っている。この人たちUNOにめっちゃ真剣だよ。目がマジだよ。
「あっあがりだ」
そんな俺の声に3人のにらみつける攻撃。いやそんな目で見られても・・・かえんほうしゃ覚えろよ。
結局、俺の適当に出した案を明日、ラノベ研にもっていくことになった。
「私たちがチラシを配るんだからただのチラシ配りとは違うぞ!これからが本領発揮だ!」
いや、もっと前から本領発揮してください。発揮するところ違うでしょ。新聞部じゃないんだから。
「今日のは確かに俺らが悪かったな。けどあくまでこれはとっかかりだ。ここからトライアンドエラーの繰り返しだよ」
エラーアンドエラーでないことを願う。ほんとマジで。
ちなみに優勝は中山先輩でした。この人強すぎ。
そして全敗の神坂先輩。この人弱すぎ。
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