第九章
~第九章~
ナイフを持ち笑い始める児島。
「お前、やっぱり...。」
次に放った児島の一言に前村は言葉を失う。
「リンゴ...食べますか?」
「何?」
「いや、朝なんでリンゴでも剥こうかと。
驚きました?」
「何をふざけているんだ!
なぜ佐伯の電話を切った!
それと、電話を返すんだ。」
「ダメです。
前村さんは信用しているのかもしれませんが佐伯さんが上倉殺しの真犯人かも知れないんです。」
「それは...。ない。断じて。」
「前村さん、今の状況分かってますか?
あなた上倉殺しの犯人にされてるんですよ?」
「それはそうだが、佐伯だけは。」
「その油断が足元をすくうことも有るんです。
念には念を入れてください。」
「......あぁ。分かった。」
「どうぞ。」
児島から戻ってきたスマホには佐伯からの不在着信が入っていた。
「掛け直すのは良いですけど絶対に計画の事は言わないでください。」
「分かった。」
改めて佐伯に電話を掛ける。
「もしもし!?修平!大丈夫か!?」
「あぁ。済まない。スマホを落として切れてしまった。
電源が入りずらくて掛け直せなかった。」
「そうか、良かったよ。
そっちにいこうと準備を始めていた所だ。」
「こっちは全然大丈夫!有り難う。」
「いや、何もなければよかった。
それより計画が分かったって。」
「あぁ。それなんだが勘違いだった。」
「なんだよそれ!」
「あはは。済まないな...。」
「またなんかあったら言えよ!」
「あぁ。じゃぁな。」
「おう!」
電話を切った前村は早速児島に計画の事を話した。
「児島。さっきも言ったがこれはあくまで仮定の範疇だ。」
「この状況、仮定でしか話が出来ないでしょう。」
「あぁ。それを分かった上で聞いてくれ...。」
前村の仮定を聞いた児島は、信じられないがそれしか考えられないといった表情で頷く。
「では、僕はどうすればいいんでしょうか。」
「渡辺にどうにかして伝えたい。」
「ですが、前村さんは面会出来ません。」
「あぁ。だから頼んでいいか?」
「......分かりました。必ず伝えます。」
「頼んだぞ。」
その日出所すると佐伯は居なかった。
好都合だ。
皆して前村の捜索に当たっていた。
業務を一通り終えた児島は渡辺の面会に向かった。
面会届けを提出し面会所で渡辺を待つ。
鼓動が0.5秒毎になり続ける。
200回目の鼓動と共に対面のドアが開く。
少し笑みを溢しながら渡辺が入ってくる。
いよいよ大企業の脱税の供述をひっくり返す戦いの火蓋が切って落とされた。
~最終話予告~
全ての計画、そして二人の上倉の謎が明らかに。
最終話乞うご期待!
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