第10話 ボールは友達って…怖いですわ

「コイントスで先行を決めます」

 指で弾いた100円硬貨を慣れた手つきでキャッチして突き出すマザーキティ此処は修道院

「表だ!!」

「裏で結構ですわ」


 マザーキティの手の甲で覆われていた表の100円硬貨がキラッと光る。

幸先いいぜネイル剥げてる

運を使い果たしたんじゃありませんこと年齢って指先にでるものですわね?」


「並べな!! オールストライク大艦巨砲主義で…どう並べても同じだがな」

 ドンッ!!

 シスターアンジェラちっさいが挑戦的真正面にキリスト像を配置する。

「舐めやがって!!」

「当たらなければ、どうってことありませんわ」

「シスターベティ選手、一投目レッツボーリンッ!!」

 どこから持ってきたのかマイク片手にノリノリのMCキティ。

死に晒せー主に向かって…!!」

 およそ神に仕える者の口から飛び出したとは信じたくない神への反逆的言動と共に放たれるラグビーボール。

 ゴロンゴロン…ボヨンッ…コキンッ…

「はい!! シスターベティまさかの1本1点!!」

「なんですとー?」

 ラグビーボールは転がすと何処に跳ねていくか誰にも解らない。

 それは神のみぞ知る未来なのかもしれない。

「跳ねる方向には等しく確率が存在し、その数だけ淘汰された未来がある…私が掴みとる未来はストライクのみですわ」

 意味の解らないことを口走りパラレル慣れした現代っ娘、ラグビーボールを構えるシスターアンジェラ。

「シスターアンジェラ、一投目…ボール、ローリンッ掛け声は定まっていない模様!!」

 ガバッと足を開いて股からボールを転がすシスターアンジェラはしたないとか関係ない

「んなぁに~!! ピーナッツ投法命名シスターベティだとー!!」

 MCキティが弧を描くようなボールの軌道に気付く。

「違う…さらに回転を加えているわ…これはカシューナッツスピンなんか曲がってる感じ?だわ」

 一番端の両脇にキリストとマリアを配置性格が垣間見えるした空瓶を弾き飛ばしながらストライクをもぎ取るシスターアンジェラやるからには必勝一択

「ふふん♪」

「シスターアンジェラ…一投目ストラ~イク!! 30点ストライクの場合は30点らしい

 1対30…一投目で絶望的な差が開いてしまった…。

「さぁ2投目…逆転なるか? シスターベティ噛ませ犬感満載!!」

「ストライク以外では逆転はできませんわよ」

 すでに勝者の風格シスターアンジェラ産まれた瞬間から勝ち組、どこからか持ってきたのか椅子に深々と腰かけ、ワインノンアルをクイッと飲んでいる。

「あのチビー!!」

 心の声が駄々漏れしちゃうほど地団太踏んでいるシスターベティ噛ませ犬人生

「これでどうだー!!」

 ピピーッ!!

「ファール!! エアボールボールを投げてはダメ!! 減点-10点」

「なにーっ!!」

「飛ばしたら、何ボール使っても同じですよ」

「解っていただきたいですわ…」


 結局、-6点対238点、シスターアンジェラ初代王者獲得の圧勝であった。

 その後、廊下でラグビーボールを転がすシスターベティ負けず嫌いであったが…第2回の開催は未定である。


「要りませんのに…」

 初代王者へは、『ONE TEAM個人競技なのに』と書かれたプリントTシャツが送られた。

 アーメン

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