第9話 人の味覚は単純ですわ

「ピーマン…ピーマン…ピーマン…パプリカ?」

 呪文のように夕食を眺めながら呟くシスターベティ食種は肉食系

「せめて肉を詰めてくれ!!」

 焼きピーマンを指さすシスターベティ性格も肉食系

「連日の宴で肉が無くなってしまいました」

 マザーキティがシレッとした顔で野菜炒めを食べ始める。

「まぁ、ファットマンが育てた、お野菜ですわね」

 シスターアンジェラしいたけとセロリは嫌いが驚く。

「意外な才能でした、ファットマンに農業の才があるとは」

 額に汗して働くファットマンの姿が脳裏に浮かぶシスターアンジェラ。

 キラキラと光る汗をグイッと拭うファットマンの姿が…


「違ぇだろ…」

 シスターベティの脳裏には、ボンテージに滲みこむ汗の腐臭を漂わせて、ギャグボールがヨダレでベタッとヌラヌラ光るファットマンの顔が浮かんでいた。


「食欲失せた!! カップラーメン食べる」

 キッチンに行くシスターベティラーメンは味噌派

(シスター修道女がカップラーメン…シュールですわ)


 台所から1.5倍のカップラーメン当然、味噌味 特盛とポテトチップスを持って戻るシスターベティ暴飲暴食のスレンダー

「野菜嫌いなのに…フレンチサラダ味ですのね」

「芋は好きなんだよ」

(サラダ味って…何味なのかしら?)


 ズゾゾゾ…っとラーメンをすするシスターベティ椅子にあぐら

 生卵を入れて、野菜炒めをラーメンの残り汁に入れて飲み干す。

「なんか…足りねぇ…」

 ポテトチップスをパリパリ食べながら不満げな顔。

 黙々と食事を続けるマザーキティとシスターアンジェラ。

 それがシスターベティの苛立ちに拍車をかける。

肥満が作ったファットマンピーマン美味しいですか~?」

 酒も飲んでないのに絡みだすシスターベティ。

「無視なさいシスターアンジェラ…病なのです」

 マザーキティの言葉空しく、シスターアンジェラ我慢の足りない現代っ子焼きピーマンをフォークで突き刺しシスターベティにぶつける。

「失礼…手が滑りましたわ」

 顔にピーマンをビタンッと投げつけられたシスターベティ辞書に我慢の2文字は無い

上等だ実践豊富!!」

相手になりましてよなぎなた2段保持

「おやめなさい!! 仮にも神に仕える身で私闘など…許されません至極もっとも

 ノーブラTシャツ短パン食事はラフな服装派のマザーが立ち上がる。

「修道女なれば、それなりの方法で…決着をつけなさい」


 廊下に出てしばらく……

「出来ましたよ」


 廊下に三角形に並べられた8本の空瓶ワイン、手渡されたマリア像とキリスト像


「マリアは5点、キリストは10点!!」

「はい?」×2

「修道院名物、廊下でボーリング~」


 ボーリングの発祥は修道院だといわれている違ったらすいません…と聞いたことがある。

ボールはコレでラグビーボール…」


マリアとキリストは任意の位置に置いてよし初期配置が重要な戦略的ボーリング!! それ以外のルールはボーリングに準ずる!!」

 ポンッとラグビーボールを手の平で弾くシスターベティ賭け事大好き

「面白ぇ」

「返り討ちですわ…」

 まさかの食後の運動を強いられた13歳、勝利を掴めアーメン。

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