第1271話 食べながら応援させてもらうとしよう。的なお話

なんでこうなったんだろう?

どうして俺は今壇上に立ってるんだろう?

俺ってフラグ回収出来ない体質じゃないの?

なんでこういう時に限ってフラグ回収しちゃうわけ?

いつもならフラグを立てようがあえて逆のフラグ立てても思った通りにならないのが俺の人生じゃないの?

それなのになんでこうなったわけ?


なんもかんも全部中間管理職っぽいおっさんが悪い!

サプライズのつもりなのかもしれないけど、そういうのは事前に話を通すべきじゃないのか?

俺にサプライズしてどうすんのさ!?

会場の人達へのサプライズじゃないの!?


「えー、正直に言って、自分はこういうのはあまり得意じゃなくて、だからなんて言えばいいのか分かりませんが、その、自分なんかが栄誉ある大役を任せてもらえたことは凄く光栄で、そんな自分を支えてくれたり、一緒に頑張ってくれた皆さんが居たからこそ、今こうして笑いながら祝えるんだと思います。そのことがすごく誇らしいです。本当にありがとうございました!」


こ、こんな感じでいいんだろうか?


「では最後に乾杯の宣言をしてもらいましょうか。」

「どうぞこちらを。」

「あ、はい。では、その……かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」


ふぅ〜。

あー、恥ずかしかった。

英雄演舞はなんかこう、テンションとかおかしくなってたし、あくまでも英雄役っていう被り物があったからなんとかなってたけど、自分自身が注目されるってのはやっぱり緊張する。

普段の嫉妬の視線じゃないから尚のこと慣れないし。


「おつかれ〜。良かったよレント。」

「ん。録画した。」

「は!? 録画!? ってかまだ持ってたの!?」


マジかよ。

ってか、アリシアさん、録画した映像が気になってたから助けに応えてくれたんじゃなかろうか……?


『そんな事ありませんよ。失礼しちゃいます。プンプン。』


あなたそんなキャラじゃないでしょ。


あー、それにしても、本当に緊張した。

やっぱりアルフレッドを生贄にしておけば良かったかな?

補欠でありながらも常に真面目に一生懸命やっていたアルフレッドこそ褒められるべきとかなんとか言ってさ。


「ん? どうした?」

「いや、アルフレッドを生贄にしておけば良かったなって思っただけだよ。」

「なんでそうなるの!?」

「注目されるの慣れてないんだよ。」

「それで僕が生贄にされる理由がないだろう!?」

「でも、やらなかったんだからいいだろ。」

「それは、そうだけど……。」

「ふふっ……。」

「セフィア?」

「いやね、レントが楽しそうで良かったなぁって。レントって男の人にはあまり好かれないからさ。」

「そりゃまあ、基本的に嫌われてるから……嫉妬されて。」

「だから、楽しそうにしてるのが嬉しいんだよ。」

「レントは男に嫌われるのか?」

「そりゃこんな美少女ばかりに囲まれてたら嫉妬の百や千受けたりもするよ。」

「百から数える程なのか……。」


百から数える程です。

グラキアリス……というよりも西方大陸に居た頃は大体どこの国でも恨めしそうに見てくるからなぁ。

この国でもそれなりにあるし。

まあ、この国じゃあ複数の女性がいる方が人気らしいんだけど、それは女性視点で男からしたらやはり嫉妬の対象なんだろうな。


「はいレント。料理取ってきたわよ。」

「お、ありがとう。」

「レント。飲み物、貰って、来たよ。」

「ありがとう、ルナ。」


シアとルナが気を利かせて料理を取ってきてくれた。

ありがたい。

折角の打ち上げなのに食べないなんてもったいないので、早速いただくとしよう。


「なんか、嫉妬するのも分かる気がする。」

「嫉妬するのもいいが、まずは自分の幸せを考えろ。」


そう言いつつ、ある方向を指差す。


「……そうだね。」


指差した先にはアザミとその家族と思しき人達がいる。

こっからはアルフレッドの頑張り次第だ。

俺は食べながら応援させてもらうとしよう。

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