第1270話 注目される事なく平穏に過ごしたいし。的なお話
みんなと一緒に打ち上げの会場に向かうと既にそこには沢山の人が居た。
見たことある人も見たことない人も本当に沢山だ。
これだけの人が英雄演舞に、ひいては封竜祭に関わっていたのかと驚くと共にその一員だという事に感動している自分がいる。
あそこにはケンゾウさん達が居て、あっちにはいつぞやの中間管理職っぽいおっさん。
あ、衣装担当の人だ。
あの人の側には行かないようにしよう。
ボディタッチが多いから困るんだよね。
ヒサギさんとアルフレッドは……あ、あそこか。
近くに知らない人達が居るし多分あの人達がヒサギさんの家族なんだろう。
「こんばんは。仲間連れて来た。」
「む、そう……仲間?」
「そうだけど?」
「女性しかおらなんだが……本当に仲間なのか?」
「そうだよ。嫁さんと恋人が大半だけど、ちゃんと仲間だ。ちなみに男がいない理由は嫁さん達に粉かけようとするだけで嫉妬の炎でどうにかなりそうだからだ。サクッとやっちゃうかもしれないし。」
「愛が重過ぎる……。」
「あらあら、随分と面白い方なんですね。はじめまして。ヒサギの母のキキョウです。」
「あ、これはどうもご丁寧に。俺はレントと言います。」
「ウチの子はちょっと真面目な所があるからちゃんとやれているのか心配していたんですけど、大丈夫そうで安心しました。」
「いえそんな。真面目だからこそこっちも真剣に出来たんですよ。」
「そうだといいんですけどね。」
「あの〜、そろそろ俺も自己紹介してもいいかな?」
「あらあなた。居たの?」
「居たよ! 最初からずっと一緒に居たよ!」
「最初から……誕生日は違ったと思うんですけど。」
「そんな最初からじゃないよ! 今朝家出る時から一緒って意味だよ!」
「あらあなた。それは違うわね。トイレに行った時は別行動だったのだからずっと一緒では無かったわよ。」
「それは別に良くない!?」
なるほど。
こんな夫婦漫才する両親の元で育てば、自分が真面目にならなければと思いもするよな。
「両親がすまない……。」
「いや、楽しい両親じゃないか。」
「それは確かにそうなんだが、時と場所を選んで欲しいな。それで父の名がヤナギという。そして、こちらが姉の…「はじめまして〜。私はヒサギの姉のフヨウ。よろしくねー、レント君。」
「あ、どうもよろしくお願いします。」
ヒサギさんは真面目だが、姉のフヨウさんはなんていうか、ちょっとチャラい雰囲気あるな。
夫婦漫才する両親にチャラい雰囲気の姉……苦労してそうだなぁ。
「後は一応弟も居るのだが、研究が忙しいとかで欠席している。ちゃんと食事をしていてくれるといいんだが……。」
熱中すると周りが見えなくなるタイプの研究者?
いや本当に、苦労してそうだ。
今度飲みに誘おう。
そんで愚痴とか聞いてあげよう。
そうしよう。
「それでアルフレッド。キリハさんは?」
「え、ああ。キリハさんならあっちの方で見かけたよ。家族の人達と一緒に居たから大名家としてのあれこれがあるんじゃないかな。」
「そっか。じゃあこっちも紹介しておくよ。嫁のセフィア、リリン、ルリエと恋人のアレクシア、エルナ、レイダさん、アカネ、アデラードさん、リナさん、アイリスさん。冒険者のパーティメンバーのユキノと優姫。で、こっちは今は行動を共にしているコハルさんだ。」
アデルに関しては恋人枠として紹介すべきか少しだけ悩んだけど、ここは別の国どころか西方大陸ですら無いしいいかなって思ったから恋人として紹介した。
蒼井はまあ、混乱させるだけだからここでは名前の方でって事で。
呼んでて違和感あるけど。
なんて紹介していたら打ち上げを開始するとの事で中間管理職っぽいおじさんが壇上に上がった。
あの人こんな事も任されているのか。
大変そうだな。
変わってあげようとは思わないけど。
当分の間は注目される事なく平穏に過ごしたいし。
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