第1269話 選択肢なんてこっち一択か。的なお話

やり切ったという感情のままにハイタッチなんかしてしまった。

こんなの俺のキャラじゃないけど、偶にはこういうのもありだと思う。

そうして達成感を共有していると俺とヒサギさんの肩に腕を回しながらアルフレッドがのしかかって来た。

お前もそんなキャラじゃないだろ。

でも、一緒に練習してきた仲間だからついしたくなっちゃったんだろうな。

うん、ちょっと嬉しい。

暑苦しいけど。


アルフレッドから解放された後、俺とヒサギさんは衣装を着替える。

ずっとこのままってわけにもいかないし、何よりこの後は後夜祭があってそこで打ち上げをする予定。

主役である俺達も当然お呼ばれしているから、そんな中にこの衣装で行って汚したら申し訳ないし当然着替えるよ。


「ヒサギさん、この後の打ち上げって仲間を連れて行ってもいいんだったよな?」

「うむ。私も家族を連れて行く予定だ。」

「アルフレッドは……聞かなくてもいいか。」

「なんでだよ!?」

「いやだってお前、この国来るのアザミとお前の2人だけだっただろ。それに、孤児だし。」

「それはそうだけど……こっちで知り合いを作ったとか思わないの?」

「そんな暇なかったろ。」

「そういえばそうだったね。」

「アザミはアザミで勧誘員だから普通に呼ばれてるし。」


英雄演舞の打ち上げなので当然それに関わった人達が招待される。

となれば勧誘員も呼ばれるのが当たり前。

ユキノが招待状を貰ってるのかは分からないけど。

俺は稽古の休憩中に言われたから知ったけど、他の人達は招待状を送ってるらしいということしか知らないから。

でも多分貰ってるだろう。


「じゃあ俺は、ちょっとみんなに話してくるから。」

「まだ誘ってなかったのか?」

「後夜祭の方もあるからね。どっちに行くかは実際に後夜祭を見てから決めてもらおうと思ってたんだよ。」

「そうか。」

「じゃあまた後で。」


係の人に一声かけてみんなを探しに会場を出たが失敗した。

変装するのを忘れていたせいで人に囲まれた。

こんな経験初めてで、どうしたらいいのか分からない!

怒ればいいの?

笑えばいいの?

無視したらいいの?

教えて神様!


『誠実さを出せばいいと思いますよ。きちんと説明すれば分かってもらえるはずです。』


ありがとう神様アリシアさん

神様のアドバイス通りにこの後英雄演舞の打ち上げがあり、そこに仲間を連れて行きたいから通して欲しいとお願いしたところ、本当に通してもらえた。

流石は神様だ。

でも、なんでこんな詳しく状況を把握してるんだ?


『蓮斗さんの祈りは必ず届くように設定してますので。』


なるほど。

所で、魔法金属を使った鍛治の仕方を教えてくれるって話はどうなってますか?

教えて神様。


『…………。』


そこはダンマリかい!

まあ、よく分からないけどきっと忙しいんだろう。


人集りを超えて、みんなを探す。

その際に先程の反省を活かしてきちんと返送をするのも忘れない。

そしてなんとか合流して打ち上げがあるから一緒に参加しないかと誘ってみる。

なんかそこら辺にボロ雑巾のような人達が転がってるけど、ま、どうでもいいか。

どうせ強引なナンパして来たのを返り討ちにしたんだろう。

そんな奴ら……死ねばいいのに。

おっと、黒い部分が出てしまった。

気をつけねば。


打ち上げの誘いはみんなオッケーとのこと。


「後夜祭よりも打ち上げの方がレアだしそりゃそっちでしょ。」


蒼井が言うにはそういうことらしい。

まあ、言われてみれば後夜祭の方は4年後にまた参加すればいいけど打ち上げは今年参加しなかったら多分もう参加出来ないだろう。

そう考えれば選択肢なんてこっち一択か。

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