第1245話 アルフレッドの頑張り次第か。的なお話
朝だ。
ピーチチチ、チュンチュンと鳥が鳴いてない。
早朝だしな。
日が出るか出ないかって時間帯。
起きれてよかったー。
起きれなかったら昨日何のために頭下げてまでそういう事を勘弁してもらったのか分からなくなるからな。
「レント……? もう行くの……?」
「ああ。そんな時間かからないとは思うけど、ま、念の為にね。」
「そっかぁ……大変だね……。」
「勝手にやってる事だから大変でもないんだけどな。そんなわけで昨日言った通りちょっと出掛けてくる。朝食までには戻ってるつもりだからみんなにもそう伝えておいて。」
「うん……いってらっしゃ〜い……。」
眠そうにしながら言うセフィアの声ヤバいな……めっちゃかわいいんだけど。
行くのやめるとか言いそうになったよ……。
そんな欲望を部屋に置いて目的地へと向かう。
そうしてたどり着いた場所には既にアルフレッドの奴がいた。
「なんだ。もう来てたのか。」
「レントか。君こそどうしてここに? 君は来る必要なかったはずだけど?」
「昨日の様子見たら気にもなるだろう。最悪俺が代わりにやるつもりだったし。」
「そうか。心配させてすまない。でも、ちゃんと昨日一日休んで体調も良くなったから安心していい。」
「それなら良かった。と、そうだ。後これ。」
「何?」
「ちょっとした手土産。アイテムボックスに入れっぱなしだったやつ。」
「ただの在庫処理じゃねぇか!」
「あははは。冗談冗談。昨日買ったやつだから大丈夫だよ。」
「それならいいけど……。」
在庫処理というのも間違いじゃないんだけど。
昨日は昨日でセフィア達も軽く祭りを見て回ったみたいで、その時に色々買って……そんでお互いのお土産の内のいくつかが被った。
同じ祭り見てるんだしそうなる可能性があっても不思議じゃない。
買ってる時はそうなるとは思わなくてちょっと失敗したが、こうして出す機会があって良かった。
アルフレッドと話しているとキリハさん、ヒサギさんもやって来た。
「どうしたんですか? 今日は休みのはずですよね?」
「アルフレッドが昨日ああだったから心配してきたんだよ。」
「そういう事ですか。納得です。」
「昨日のアルフレッドは補欠が真っ先に腹痛で退場していたし気にもなるか。」
キリハさんとヒサギさんにも手土産を渡してちょっとした腹ごしらえをしてもらう。
3人はこれから演舞を行うから腹ごしらえは大事だよね。
ミコ曰く、元々演舞は3日目の本番のみだったが、仕事の都合などで大名達が3日目に見れなくなったのでそういう人達の為に祭り初日に大名達に向けての演舞を行うようになった。
そして、それとは別に市民からも不満の声が上がったそうだ。
酒場とか色街なんかの夜こそがかき入れどきな職種だと夕方頃に行う本番の演舞が見ることが出来ない。
かといって見に行けば仕込みが間に合わなかったりして仕事に支障が出る。
そんな声を聞き、2日目の早朝にそういう人達向けの演舞が行われるのが決まった。
そこで1つ声が上がる。
補欠の扱いについてだ。
補欠となった人はいざという時の為に備えて稽古にもフルで参加するのだけど、その補欠が必要な事態になる事が稀で結果的に試験等を含めて一月近く無駄な時間を過ごさせてしまっていた。
そんな時に市民からの声を聞き、丁度いいのでこの件に補欠の人に演舞して貰えばいいのでは? と。
そんなこんなで2日目は補欠の人が本番当日見る事が出来ない人達に向けて演舞をする事になった。
「で、アルフレッド。どうだって?」
「一応来てくれるって。」
「そうか。なら頑張らないとな。」
「もちろんさ。僕は今日この日のために頑張ってきたと言っても過言じゃないからね。」
アルフレッドは俺にだけ教えてくれた。
今日の演舞にアザミを呼び、そして見事演じきったらアザミに告白すると。
稽古期間中に仲良くなった事だし、是非ともうまく行って欲しいものだな。
そして、アルフレッド達が着替えをしている時にアザミがやってくる。
役者は揃ったな。
後は、アルフレッドの頑張り次第か。
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