第1216話 お礼とかした方が良さそうね。的なお話
〜斬葉視点〜
ん〜……どこ、ここ?
私、なんでこんな所に……?
「って、あ痛たたた……うぅ、頭、痛い……。」
そうだった。
昨日は演舞をするみんなと一緒にご飯を食べに行くことになって、それで……それで?
何があったんだろう?
レントさんが奥様に伝える必要があるから遅れるという話だったので、レントさんが来るのを待って、それから乾杯をして、話をして……そこからの記憶がない。
私、変な事言ってないよね?
……無理。
思い出せない。
それに頭痛い。
考える余裕がない。
「起きたか。」
「ユキノ……なんでユキノが?」
「なんでって、それはレントがお前を連れて来たからだ。なんでも、相当に酔っていて言動が崩れていたそうでな。2軒目行こうと誘って来たそうだ。だが、流石に2人でというのは憚られたようでな、ここに連れて来たと言っていた。ついでに、ヤマト人の事はヤマト人に任せるのが1番とも言っていたな。完全に丸投げされたよ。」
「2軒目? 私が? レントさんだけを?」
「そう言っていたぞ。」
「嘘でしょう!?」
「残念ながら本当だぞ。」
「という事は私は……。」
「安心しろ。お前が想像しているような事は1つも無かったからな。」
「そ、そう……それはそれとして、薬持ってない? 頭痛くって……。」
「相当飲んでいたようだな。」
「覚えてないけど、そうなんでしょうね。」
「ちょっと待っていろ。今水を持ってくる。」
「お願いね。」
そう言ってユキノは一度部屋から出ていく。
そういえば、レントさんは嫁さん達にと言っていて、それでユキノがいるという事はつまり……?
え、待って?
そういう事なの!?
いつの間に!?
「どうした?」
「な、なんでもないわ! 痛た……。」
「何をやっているんだか……。ほら、薬と水だ。」
「ありがと……。」
薬を飲んですぐに楽になるわけじゃないけど、水を飲んだからか少しだけ頭がすっきりした気がする。
気のせいかもしれないけど。
「ユキノはさ、レントさんと、結婚……してるんだよね?」
「……は? 何を言っておるのだ?」
「だって、昨日レントさんは嫁さん達にって言っていたし、そしたらユキノが出てきたから、そうなんだなって。」
「私とレントはそういう間柄ではない。私が使命を行う際に路銀を稼ぐ為にパーティを組んでいたんだが、そのパーティメンバー2人ともレントの事が好きでな。それで一緒に行動をするようになっただけで、私はただの仲間でそれ以上ではないさ。それに、私みたいな人間など、レントは興味すら持たないだろうよ。」
「そんな事は無いと思うんだけど……。ところで、そのレントさんは今どこに?」
「ああ、レントなら既に稽古に出掛けたぞ。」
「へ? あーーーー!! もうこんな時間じゃない!? なんで起こしてくれなかったのよ!?」
「相当に酔っていたからだ。レントも二日酔いで稽古どころじゃないだろうから休ませておこうと言っていて、それに同意しただけだ。で、どうだ? 稽古に参加できそうか?」
「……無理。今やっても気持ち悪くなりそう。」
「だろう? まずは身体を休ませろ。少なくとも薬が効いてくるまではな。」
「そうする。」
「稽古には伝えておいてくれるそうだから安心して休め。」
レントさん、本当に親切なのね。
でも、申し訳ないし何かお礼とかした方が良さそうね。
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