第1215話 それじゃあ俺も寝るとしようかね。的なお話
酒も進み、食事も進み、時間も進む。
コースの2時間……俺は遅れてきたから1時間半程だけど、それでももうすぐ終わりの時間となった。
だけど、アルフレッドとキリハさんとばかり話していて他の人とは全然話せなかった。
ケンゾウさんと他の指導役の人達は……結構早い段階から出来上がってたからまともな会話になるとは思えなかったし、酔っ払いとは話したくはなかったからいいとして、ヒサギさんと話せなかったのは少し残念。
ヒサギさんとは一緒に演舞をするわけだし、色々と話したかった。
俺の演技はどうかと聞きたかったし、動きの合わせ方とかその辺も色々と話したかった。
何より名前がヒサギだからね。
某少年漫画のあまり目立たない副隊長さんと同じ名前だからなんかこう、話したかったんだよ。
でも、お酒も飲まずガツガツと食べてたから、なんか邪魔しちゃ悪いなって思ったら話しかけられなかった。
酒は飲まなくとも肉はガッツリ食べるのね。
ひょっとして破戒僧か何か?
って、僧じゃなかったね。
勝手にそう思ってただけだったね。
「それじゃあそろそろお開きにしようか。」
「そうだね。相談乗ってくれてありがとう。僕も頑張ってみるよ。」
アルフレッドからはアザミとの仲を進展させたいって相談を受けたから一応答えた。
俺自体恋愛経験はそこまで……うん。
普通の恋愛経験はそこまでないからどの程度参考になるかは分からないけど、出来る限り答えてはみたな。
話を聞く限りアザミはそういう対象としてアルフレッドの事を見てないようだったからまずは異性として意識させるようにと答えた。
多分それであってるはずだ。
というか、異性として認識されてなかったらスタートラインにすら立ってないからな。
「レントさ〜ん。2軒目いきまひょうよ、2軒目〜。」
誰だ、これ……?
面影が……真面目で優しく、巫女役にふさわしい姿だった面影が全くないんですけど!?
普段のキリハさんは何処へ!?
キリハさん鬼人族ですよね!?
鬼人族って普通お酒に強いんじゃないの!?
……そういえば、酒呑童子って酒を飲んで泥酔したところを殺されたんだっけ。
なら、酒に呑まれても不思議じゃないか〜。
あはは〜……はぁ。
「ふむ。キリハ殿はレント殿とまだ飲みたいご様子。邪魔しては申し訳ないですし、私はこれで。」
「そうだね。僕もアザミさんに早く会いたいし先に帰らせてもらうとするよ。」
「俺らも帰っか〜。レント〜、頑張れよ〜。」
「夜張り切り過ぎて明日腰痛めたって言われても容赦しねぇからな。がははは!」
「あ、ちょっ!?」
酔っ払いどもめ〜。
どう考えても逃げたよね!?
というか、そんな事しないし、2軒目なんて行かないし!
「レントしゃ〜ん。えへへ〜。」
「……はぁ〜。仕方ないか。」
このまま放置するのも流石にまずいし、かといってどこか宿に置いてくるとしても、気付いたら知らない宿に居るとか不安にさせてしまう。
道場も論外。
そもそも開いているかも分からない。
1番いいのは家に送り届ける事なんだけど……家の位置なんか知ってるはずもなく、本人に聞いたとして今の状態でまともな回答が返ってくるとも思えない。
となれば取れる方法は1つしかないだろう。
ヤマト人の事はヤマト人に任せるのが1番。
「というわけで連れて来ました。ユキノ、後は任せた。」
「それは丸投げというのではないのか……?」
「そうとしか言わないな。」
「おい。……はぁ、キリハ、今から部屋に連れて行くからな。」
「知り合い?」
「ああ、幼馴染みだ。」
「それならユキノに頼って正解だったわけか。」
「結果的にそうなっただけだろう。では、私はキリハを寝かせるからな。夜這いするなよ。」
「そんなつもりあるわけないだろ。そもそもそんなつもりなら別の宿に行くもんだろ。」
「それもそうだな。」
これで一安心だな。
さて、それじゃあ俺も寝るとしようかね。
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