第1217話 設けない方が良さそうだな…。的なお話
キリハさんをユキノに任せて俺は道場に来たわけだが……これ、来た意味あったかな?
「アルフレッド、指導役の人達は……?」
「さ、さぁ……? 僕が来た時も姿は無かったけど……。」
「ヒサギさんは知りませんか?」
「私も見ておりませんね。」
うん。
指導役の人達が誰1人としても居ないんだよね。
これでどうやって稽古をしろと?
それに巫女役のキリハさんも二日酔いだろうし、昨日の様子を見る限り恐らく薬を飲んでも昼頃までは使い物にならないだろうし。
現状俺とアルフレッド、ヒサギさんの3人しか居ない。
「そういえばあの後キリハさんは?」
「ああ、とてもじゃないけどほっておけないから、仲間に任せて来たよ。」
「ああ。レントのパーティは人がいっぱい居たね。しかも女の人だけ。」
「俺が独占欲強いからな。嫁さん達に手を出す可能性があるから男なんか仲間にするわけないだろ。女だからってホイホイ仲間にするわけでもないがな。」
「そうなんだ……?」
「おい。なんだその目は?」
「別になんでもないよ……?」
「目を見て言え。」
全く……否定してもそう勘繰る輩が多くて困る。
本当に俺はそういうつもりで仲間を増やしてない。
俺はそういうつもりの相手も増やしてない。
俺は増やしてないけど……セフィア達、余計なこと言ってないよな?
なんか、凄い不安なんだが……。
だ、大丈夫だ。
きっと大丈夫なはずだ。
「急に黙ってどうした?」
「い、いや、なんでもないぞ?」
「そうは見えないんだが……。」
「ほ、本当になんでもないから。それに、そんな細かいこと気にしてると女に嫌われるぞ。ただでさえ異性として意識されてない上に、祭りが終わったら今の関係も無くなるんだ。今の状態で嫌われるようなことがあれば関係の進展なんて絶望的なんだぞ。何より相手は大名の娘なんだから近づく事すら出来なくなってもおかしくないしな。」
「ぐはっ!」
「あ……。」
やべっ。
完全にオーバーキルしたかも?
「無惨な……。」
そこの僧!
聞いてたのかよ!
振り返ってみればヒサギさんはあらぬ方向を向いて我関せずといった態度を見せてる。
いや、聞いてたのは分かりきってるからな。
ヒサギさんは吹けない口笛をぷすーぷすーと吹いているし、アルフレッドは床に手をついて崩れ落ちてるし、俺は俺で嫁さん達の事が気が気でないしで、稽古をしている状況ではなくなっていた。
そんな時間がしばらく経った頃になってようやく指導役の人達がやって来た。
「あ〜、遅れてすまねぇ……。」
やって来たんだが……見るからに体調が悪そう。
これどう考えても二日酔いだよな?
昨日あの後別の店をはしごしたのか、それともそのまま帰ったのかは分からないけど、どちらにせよこの人達も全く役に立たないという事だけは分かる。
項垂れるアルフレッド。
使い物にならない指導役の人達。
未だ来ぬキリハさんと、とてもじゃないが稽古なんて出来るわけもなく、そのままお昼の時間になってしまったか。
午後からやるにしてもお昼は食べておかないと動けないからと屍達から視線を外しつついつもの場所に向かう。
そこにはやはりいつも通り紅白巫女が居たが、お昼の時も今の道場の状態は話さないようにした。
こんなんでも一応はこの国のトップだからね。
今の状況を伝えようものなら絶対に怒られるだろうし。
1人は俺の責任だし、わざわざ薮はつつかないよ。
そして午後、キリハさんは遅れてやって来て、指導役の人達もなんとか使い物になるようにはなって、ようやく稽古が始まった。
やっとか……。
今後はお酒飲む席は設けない方が良さそうだな……。
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