第1190話 あの人は関わってたりしないよね? 的なお話
「私はこの後素材のチェックがありますので……あ、そうそう。そういえば、帝様への謁見に関してですが、冒険者の仲間も連れて来て欲しいとの通達がありましたので、仲間の皆さんにもそうお伝えください。それでは、お疲れ様でした。」
そう言って採寸してくれた人は部屋から出て行った。
そういえばあの人の名前聞いてないや……伝言とかしたくなった時どうすればいいんだ……?
そして通達の内容。
何故に仲間も?
これはアルフレッドの方も同様なのだろうか?
そもそもアルフレッドが呼ばれているかは分からないが、補欠だから無いのかもしれないな。
この指示を出したのは帝だろう。
定番としては冒険者なんて高貴な人間である帝には普段見かけぬ人種だからこの機会に話してみたいとかだろうけど、一応1000年前から帝してるって噂もあるわけだし、この可能性はあるのか?
うーむ、分からん。
まあ、そもそも1000年帝をしているっていうのも、名前がヒミコっていうのも疑わしいしな。
帝は世襲制で代々ヒミコの名を継いでいて、ヒミコの名だけが伝わり続けた結果そういう噂になったかもしれない。
詳しい事は実際に会った時に分かるだろうし、考えるだけ無駄だろう。
それよりも、こうしてグダグダ考えている間にも時間が過ぎていってしまう。
残り少ない自由時間、無駄にしてなるものか!
というわけで急いで宿に帰る。
後ろで何やらアルフレッドの声が聞こえて来た気がしないでもないが、無視無視。
今俺は自由を満喫せんが為に帰路についているのだ。
そう簡単に邪魔されてたまるかってね。
◇
宿に急いで帰るとみんなは部屋でのんびりとティータイムに興じている最中だった。
羨ましい。
俺もこんなのんびりとした時間を過ごしたい!
思えばゆっくりとお茶を飲んでただただのんびりとした時間を過ごしたのはいつ以来だろうか?
船の中か?
でも船の中は中で結構遊んでいたし、のんびりしていたとは言い難いか?
「セフィア、俺にもお茶頂戴。」
「うん。ちょっと待っててね。」
というわけでお茶を飲む。
座る場所は何故かリリンが自分の下を指していたが、意味がよく分からない……というか分かりたくなかったので隣に座った。
すると即座にこてんと膝の上に倒れ込んできたではないか。
こんなの、撫でるしかないよね!
「あー、ずるーい!」
「早い者勝ち。」
「そんなこと言ったって僕はお茶を淹れてたんだから先になんてできるわけないじゃん!」
「冗談。後で代わる。」
相変わらず仲がよろしいようで何より。
しかし、俺の膝にはそれだけの価値があるのかねぇ?
セフィア達みたいに柔らかくないと思うんだけどなぁ。
「はい、レント。」
「ありがと。……うん、美味しい。」
「本当? なら良かった。」
「セフィアもちゃんとお茶を淹れられるようになったんだな。」
「うん。アカネちゃんやユキノちゃん、コハルさんに教わったからね。」
日本茶ならぬヤマト茶なんでグラキアリスで主流の紅茶とはちょっと淹れ方が違うが、その辺を既に学んでいるとは、流石はセフィアといった所か。
多分リリンやルリエも出来るんだろうけど。
リリンの頭を撫でつつお茶を飲む。
ほっこりするなぁ。
まるで縁側で猫を膝に乗せながらお茶を飲む老夫婦の気分。
ここ縁側ないんですけどね。
「採寸の方はどうだったんですか?」
「ああ、そっちは問題なく済んだよ。ただ、それとは別で帝に謁見する時に冒険者の仲間も一緒にって言われたよ。」
「「えぇっ!?」」
「驚くよな? それと、冒険者の仲間って事だからコハルさんは留守番になるかな。」
「あー、そっか。そうなるよね。」
しかし、これは偶然なんだろうか?
なんか頭の中に紅白巫女が浮かんだんだけど、あの人は関わってたりしないよね?
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