第1180話鬼が出るか蛇が出るかってね。的なお話
「でも、魔石を人為的に作れるのなら誰かが作ったりしててもおかしくないと思うんだけど、そんな話は聞いた事ない。なんでだ?」
「それは無理だから。まず原理を知らないから作る事が出来ないし、知ってたとしても、魔力が霧散しないように飽和状態にする事も、圧縮しきる事も出来ないから。」
「やっぱりそう簡単にはいかないか。」
作れたらいい訓練兼小遣い稼ぎになると思ったんだけどな。
そううまくいかないか。
「ちなみに自然に出来る魔石は全部ダンジョンコアになってるから。」
「ふぁっ!?」
うわっ。
なんか変な声出た。
恥ずい……。
「自然の中で魔石が出来る条件が達成出来る場所は1つだけ。それが龍栓と呼ばれる場所。世界に流れる龍脈の流れの中でなんらかの要因でその流れが滞ったり、新たな流れが出来ることがあるんだけど、滞った場所はそこに魔力が溜まり、新たな流れが出来た所も先が続かなければそこで魔力が溜まる事になる。そうした場所を龍栓と言うんだけど、そうして魔力が流れ続け押しこまれ続けた結果魔力が凝縮し結晶化する事になる。そうして出来た魔石をダンジョンコアとなるようにシステムが組まれてるの。そしてその際に不自然な流れの龍脈から魔力を吸い出して外に出して再び龍脈に戻す役割もあったりするのよ。」
「えーと……なんか、またさらりと重要なこと言ってないか? というか、簡単にそんなこと言っちゃっていいのかよ……?」
「ここにいるメンバーならわざわざ周囲に言いふらしたりしないでしょ?」
「しないだろうけどさぁ……。」
昔はこんなじゃなかったのに、なんか無駄に人間っぽさが増してないか?
いや、悪いわけじゃないんだけどさ。
昔はもっとわがままだったからそれを考えたら楽な気がしないでもないが、これはこれでまた面倒な気がする。
というより面倒事を抱え込むことになりそう?
とりあえずこの話はそっと胸にしまっておこう。
世界の謎は謎のままの方がいいと思うから。
「ま、まあ、もうダンジョンの話はいいや。お腹いっぱいなんで。それよりも遊びに来たんだよな? その目的の方はいいのか?」
無理矢理にでも話を変えよう。
これ以上は受け止めきれない。
「あー、まあそうね。ダンジョンに関することを知ったところでなんの意味もないもんね。私の目的はこれよ。」
「何それ?」
「前に言ってたでしょ……また美味し物食べさてくれって。その材料。」
「え、あ、あー、そういえばそんな事言った気がする。」
「忘れてたの!?」
「すまんすまん。だけど、色々あったからさ。」
「むー、まあいいわ。これ食べてあまりの美味しさに腰抜かさないように気をつけるのね。というわけで厨房貸りてくるわ。」
「あ、それなら僕も行くよ。厨房の人達とは顔見知りだからさ。」
そう言うと人間サイズになりそのまま部屋を出ていってしまった。
成長したと思っていたけど、そう簡単に変わらない所もあるみたいだな。
なんかちょっと安心した。
フラン達が出ていった後急に静かになったな。
それだけ騒がしい奴という事でもあるけど。
とはいえ、ここで何もしないでいるというのもそれはそれで勿体ない。
折角自由な時間なわけだし、ここらで趣味の時間に当てようではないか。
趣味と言っていいかは分からないが、この時間を使ってちょっとした細工のデザインでも考えようか。
いや待て、その前に鞘のデザインを考えるというのもありかも。
魔道具な槍とかお守りとかはやってても鞘のデザインの方は全然やってなかったし。
うん。
こっちをやろう。
とりあえず金属パーツ部分のデザインを幾つか用意して、その後アイリスさんと意見をすり合わせていくって形でいいかな?
十字は1つくらい入れたいな。
中二と笑いたければ笑え。
だけど、存外そういうのがカッコ良かったりするんだよ、こっちでは。
なんて自己弁護しつつひとまずデザイン画を5枚ほど完成させる。
フランについていかなかった面々はそれぞれが思い思いの時間を過ごしていて、気付けばお昼時。
まだかなってタイミングでフランが戻ってきた。
グッドタイミング。
さてさて、フランの料理、鬼が出るか蛇が出るかってね。
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