第1179話 絶対面倒なことになるだろうし。的なお話
コハルさんと別れた後で良かったよ。
もしもここにコハルさんが居たら混乱させることは間違い無いし。
「なんでフランがここに?」
「昨日アルティア様からヤマトに新しいダンジョンが出来たって聞いたからレントに会いに来たの。」
「会いに来たって……そうホイホイやって来て大丈夫なのかよ……? 誰かに姿見られたりしなかったか?」
「何? 独占欲?」
「違うわ! フランの見た目はアリシアさんにそっくり……って、あれ? その髪……?」
「あ、気付いた? なんか最近また変わって来たんだよね。」
フランの髪がまた変化している。
最初の時はアリシアさんと同じキラキラと陽光を反射する綺麗な金色だったが、いつだったか、気付いたら髪の毛の先端が桜色に変化していた。
そのフランの髪の毛が更に変化していて、先端が桜色というのは変わらないが、そこに至るまでが変化している。
頭頂部の金色から先端の桜色、そしてその桜色に向かう途中でグラデーションのようにして銀色が混ざっている。
色としては金色、銀色、桜色という順番だ。
「なんていうか……ちょっと中二?」
「誰が中二だ!?」
うわお。
通じるんだ。
流石は神様の眷属。
「私も理由が分からないのに中二はやめてよ。」
「それで、遊びに来たはいいけど何をするの?」
「その前に1つ言っておきたいことがあるのよ。」
「言っておきたいこと?」
「レントはさ、牛鬼と遭遇したんだよね?」
「まあ、そうだな。あ、その謝罪?」「え、違うよ?」
「違うのかよ! ならなんで話題にした!?」
「いや、ちゃんと言っておく必要がある事なのよ。そもそもダンジョンが何のためにあるのかは知ってるわよね? とはいえ、全部が全部アルティア様が作ってるわけじゃなくて自然に出来る事も当然ある。そもそもダンジョン自体今じゃ世界のシステム、いわば理の1つとなっているのよ。だから自然に出来るようになってるわけなんだけど、そうなるとその全てを管理しきることは神でも無理。だから、今回の牛鬼の件は意図したものではなく自然災害だという事を理解して欲しいの。って、アルティア様が……。」
「アルティア様かよ……。」
「レントに疑われたり嫌われたりするとアリシア様に何を言われるか分かったものじゃないって言ってて、それで弁明しておいて欲しいって言われたの。」
「アルティア様は知れば知るほど残念な人になってく気がする……。」
「まあそういうわけなんで、今回のはあくまでも事故でアルティア様は関係ないって事。」
「そもそも疑ってたりしたわけじゃないんだけどな。神がいるんだし、そういう理があったとしても不思議じゃないとは思ってたから。地球にはないものでも神がいてそういう風に世界を作ったのなら、存在するのが当たり前だって。そんで、そういうダンジョンから魔物が溢れて来たっていう話は前に聞いた事あったから、そういう事もあるんだろうって。」
「分かってるんならそれでいいんだけどね。」
「それはそれとして、なんで外の魔物には魔石がなくて、ダンジョンの魔物には魔石があるんだ? 一応自分の中ではこうかなって考えはあるけど、ちょっと気になってるんだ。」
「その考えを言ってみなよ。それを聞いてから教えてあげる。」
「なんだよそれ。外れてたら笑い者にでもするのか?」
「しないわよ。多分ね。」
「怖いなぁ。ま、いいや。俺の考えではそもそも魔物には魔石がない。だけどダンジョン内では周囲の魔力とかそういうエネルギーが飽和状態な為に魔物が死んだ後、ダンジョンに吸収される死体から抜け出た魔力が霧散せず外からの圧力によって凝縮され固形化する。それが魔石ってのが俺の考えだ。」
「惜しい。」
「惜しいのか。」
「さっき言ったでしょ。システムだと。原理としてはそうなんだけど、そういうシステムだからそのシステムに従ってそういう結果になるの。例えるなら人工ダイヤと天然ダイヤみたいなものかな。レントが言ったのが天然ダイヤで、ダンジョンのシステムが人工ダイヤ。」
「つまり、原理を人為的、いや、神為的に起こしていると。」
「そういう事。」
「え、何? どういう事? ダイヤって作れるから魔石も作れる?」
「ああ、ごめん。みんなにはちょっと難しかったか。ダンジョンの中でのみ魔石が手に入るって事だよ。」
前提とする知識が無ければ理解はし辛いよな。
しかし、なんか簡単にダンジョンの謎の一端を知ってしまったな。
これ発表したら大ニュースじゃないか?
しないけど。
絶対面倒なことになるだろうし。
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