第1177話 大体遭遇してたりするんじゃないかな? 的なお話

「それじゃあ、そろそろ帰らないとね。」

「あー、また仕事がー。」

「私も長期間店を閉めておくわけにはいかないっすからね……。」

「あの、私はもう少し休んでいちゃダメですか?」

「ダメに決まってるじゃない! そんな事したらまたエリーナに怒られるよ!?」

「ですよねー……。」


昨日も貪られたわけだが、そうして睡眠時間が短くなったはずなのに元気ですね。

俺は眠いというのに……。

やっぱり女性は全員サキュバスなんじゃないのか?


「リリン、送りよろしく。」

「ん。」

「俺は……そうだな。とりあえず一旦ギルドに寄ってこようと思う。牛鬼の事もどうなったか気になるしね。コハルさんもどう? 薬のお礼を言いに行かない?」

「あ、そうですね。それじゃあ私も行きます。」


良かった。

転移魔法の事は秘密にしたかったけど、リリン1人に3人を送るのを任せるのはおかしいと思われるかもしれない。

それを避ける為というのもあってギルドに向かうと思ったわけだけど、その際にコハルさんを連れ出す理由があったのには助かった。


「それじゃあまた。次は祭りの時かな。」

「うん。」

「そっすね。」

「はい。」


3人と軽くハグをしてから別れ、そのままギルドに向かう。

重要なのは先に動く事。

俺が先に動く事で必然的にコハルさんもついて来る事になるから。

リリンだって人のいる所で転移魔法を使うとは思わないが、俺達が後だと人目を避けるにしてもコハルさんの目の届かない所まで行かないといけなくなる。

それは面倒だろうし手間というもの。

どうせ行くのなら先に行ったで別にいいだろうという事で先に動いた。


そして着きました冒険者ギルド。

牛鬼の事もあって中はピリピリとしてるかと思えばそんな事はなく、どちらかというと浮き足立っているように感じる。

え、何?

もしかしてそんなにやばい状況なの?

ヒノモトを離れるか否か考えないといけないとかそんな状況だったりするの?


事情を知ってそうなこの前の人の所の受付へ向かう。


「おはようございます。」

「あ、牛鬼の時の……その後お加減はどうですか?」

「ええ、薬のお陰で全員快復しましたよ。なのでそのお礼を言いたいのと現在の状況を確認したくて来ました。ギルドマスターと会う事は出来ますか?」

「少しお待ちください。」


今回は慌ててないから問題はなさそうだな。

書類仕事以外はてんでダメって言われるくらいのポンコツさんだったけど、流石に呼びに行くだけでやらかしたりはしないだろう。


「ギルドマスターがお会いになるそうです。どうぞこちらへ。」


受付さんに案内されて再びギルドマスター室へ。


「その様子だと問題はなさそうだな。」

「はい。お陰様で。なのでそのお礼を言いにきました。」

「気にするな。冒険者を守るのもギルドの仕事だからな。それよりも今の状況だよな? 立ち話もなんだし、まあ、座れよ。」

「分かりました。失礼します。」


ギルドマスターに促されてソファーに座り、その対面にギルドマスターが座る。

コハルさんは俺の後ろに立ち、ギルドマスターの後ろには受付さんが立っている。

コハルさんは自身が冒険者ではなく部外者だからかな?

冒険者に登録してる可能性はなくはないけど。


「いきなり本題だが、あの牛鬼がどこから来たかという話だが、あの後調査をした結果森の奥に洞窟が出来ていて、その中はダンジョンになっていた。恐らく牛鬼はそこから来たんだろうという結論に至った。ダンジョンは階層の数はまだ全て把握したわけではないが、今分かっている範囲内では存在を確認出来ていない事からレア魔物だと思われる。」

「レア魔物ってなんですか?」

「レア魔物ってのはダンジョン内で稀に発生する強力な魔物の事だ。基本的にレア魔物は各階層に一体のみで出現率も低確率。一月ずっと同じ階層に潜ってても出会わなかったって話もあるくらいだ。」


うわ……俺そんなのに遭遇したのかよ。

まあ、ダンジョンのもっと特殊な事例にも遭遇してたりするんですけどね。

もうダンジョン関連でのレアケースは大体遭遇してたりするんじゃないかな?

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