第1147話 稽古の内容から話すとしましょうか。的なお話
買取は人員が対策会議の方に回され、そうした空いた穴を買取カウンターの人達が埋めている為今買取カウンターにはこの人1人だけ。
解体をする人達は調査結果によっては多くの魔物がギルドに集まる可能性があるので今のうちに道具の点検や人員の休息と……要するに今は買取の規模が一時縮小されてて大物の買取は無理だそうだ。
ゴブリンやコボルトなんかの小物ならともかく牛鬼のような大物はむりだそうな。
今回は牛鬼に端を発するわけだし、買取くらいしてもらってもいいと思うんだけどなぁ……。
「預かる事は出来ますが……なにぶん状況が状況なので、何かあって紛失や素材の劣化等が起こったり、或いは対策の資金や物資の素材として徴発が行われたりする可能性もありますのであまりおすすめは出来ませんが、どうしますか?」
「そう……ですか。なら買取はまた後でお願いします。」
「分かりました。」
徴発……って、なんだろうな。
挑発って事ではないだろうし……話の流れからして強制的に持っていかれる事みたいだけど、どこが持っていくんだろ?
ギルドか?
ギルドを出たら宿に向かう。
流石にここからなら迷う事はない。
昨日も1人でギルドまで来れたし、ユキノに案内してもらっていたおかげで道も覚えていられた。
さっきのはあれだ。
運が悪かった。
初めていく場所じゃなかったら迷わなかったはずだ。
きっと迷わなかった。
多分、恐らく……自信ないけど。
宿に帰り部屋に戻るとちょうど着替えをしている最中、なんていうラッキースケベイベントは発生していなかった。
コハルさんとかユキノとか居るから起こらない方がありがたいんだけど、一応男の子なのでそういうシチュエーションは憧れる。
まあ、既に経験済みなんですが。
でも、いいものは何度経験したっていいものなんですよ。
「早かったね。お昼はもう食べたよね?」
「いや、まだ食べてない。早かったのは教えられる内容は日毎に決まってるとかで、先に帰っていいって言われたからなんだ。ただ、その後お見舞いというか、何か買って行こうとしたんだが道に迷ってな。それで食べ損ねた。」
「そうなんだ。じゃあ食べに行って来ていいよ。みんなは僕達がちゃんと診てるから安心して。」
「そう? 悪いな。じゃあ、ちゃっちゃと食べてくる。あ、それとこれ。ユキノにお見舞いだって。」
「誰から?」
「アザミ。たまたま遭遇して道案内頼んだ時にユキノの事言ったらお見舞いにって渡して来たんだ。」
「そうなの? でも、嫌っていたように見えたけど……。」
「あれじゃないか? ライバルが体調崩してたりすると調子が狂う的な。」
「ああ。ラノベとかにもあったねそういうの。」
本人の名誉というか、プライバシーの関係もあるから本当の事は言えないよな。
それに約束したし。
とはいえ、セフィアにはそう見えていたのか。
セフィアよりも鋭いとなると、俺の眼力も存外悪くないんだな。
まあ、流石に鈍感野郎ではないと自覚してるし、元から悪くはないしな。
宿を出て適当な店で遅めの昼食を食べる。
時間が時間だし少し少なめで。
和風な世界観のヤマトだけど、洋風というか、そういう品がないわけじゃないみたいで、ここの店はパスタ系を取り扱っている模様。
和食系を食い溜めしておきたいけど、偶にならいいよね。
昼食を終えて再び宿に戻った後はみんなの看病を手伝う。
とはいえ、することが多いといいう段階はとうに過ぎていて今出来るのは額に乗せた濡れ手拭いを取り替えたり、時々様子を見にいくくらい。
解毒薬のお陰でかなり症状は安定しているし。
後は起こさないように気をつけながら今日の事を話したりしつつ静かに過ごすとしよう。
まずはやっぱり、稽古の内容から話すとしましょうか。
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