第1029話 黒ゴリのみに集中していける。的なお話
「セフィア、行くぞ。」
「みんなは待たなくていいの?」
「そのうち来るだろ。それに、こいつをほっといたらますます大変な事になる。それは流石にまずい。」
「……そうだね。よし、やろうか。」
先に駆け出した俺に続いてくるセフィア。
周囲の銀ゴリは近づいてこないのが少し怖いな。
誘われてるのか、それとも不意を突くつもりなのか……どちらにせよ、今はまだ注意が必要だな。
「まずは俺が先制……って、速! くっ!」
先に仕掛けて相手の力量を測ろうと思っていた矢先、突然接近して来た黒ゴリの豪腕をギリギリのところで剣の腹で受け流す。
あっぶねー。
ほんの一瞬反応が遅れてたらマジで食らってたかもしれない。
しかし、予想以上に速いな。
受け流してなおそのパワーを感じているし、かなり強い。
一旦離れて様子を伺うが、それは向こうも同じようだ。
さっきのは小手調べってか?
「パワーもスピードもボスなだけあってかなりのものだ。注意しろ。」
「うん、分かってる。」
ゆっくりと、力を抜いて前に倒れるようにし、そこから一気に加速して接近、紅剣アヴニールで薙ぐ。
しかしその刃先は通る事はなく、ギャリギャリと音を立てて太い腕によって防がれてしまった。
あの体毛、普通の毛じゃないのか。
音からして金属のような物なのかもしれない。
少なくとも、普通の攻撃ではダメージは与えられないみたいだな。
なら、普通じゃない攻撃ならどうだ?
「烈風刃!」
ヒィィィィィィンと音を立てているセフィアの双剣が横から黒ゴリへと襲い掛かり斬り裂く。
それでも毛皮はよほど強靭なんだろう。
軽く切り傷を作るに留まっている。
とはいえ、攻撃は通るという事が分かった。
それだけで十分だ。
「グゥゥ……ウホォォォォ!!!」
傷をつけられたのが気に障ったのか、怒りとともに腕を振るいセフィアを攻撃しようとするが、既にセフィアは離脱している。
それに、そんなよそ見してていいのか?
「煌炎剣!」
ジャリジャリと音を立てながらも俺の紅剣もまた傷をつける。
「ガアァァァァァァ!!!」
「おっと……。」
上から剛腕が降りてくるが、それを横にステップ移動して躱した後再び距離を取る。
黒ゴリの目には怒りの色が宿っていて、傷をつけられたのが大層気に入らないようだ。
ひょっとしたらこれまでまともに傷つけられた事ないのかもな。
「ウホォォォォォォォ!!!」
怒りのままに黒ゴリは両拳を地面に叩きつけた。
「うおっ、がっ!」
その衝撃はそのまま進んできて、地面が割れ岩が隆起してくる。
揺れにバランスを崩した所に隆起した岩に打ち上げられてしまう。
空が、青い……じゃない!
「あだっ!」
地面に叩きつけられたが、すぐに体制を整える。
突然のことに驚いたけど、そんな技があると知れれば対処のしようもあるというもの。
ただの技術か、あるいは魔法か……。
どちらにせよ、予備動作無しで使える物じゃないんだろう。
じゃなきゃあんな分かりやすい動きをするはずないしな。
「セフィア。俺が気を引くからその間に整地頼む。」
「分かった。」
とはいえ、そうポンポン撃たれると字面通りの今で足をすくわれるので、させないように行動する必要がある。
まずは、また接近戦をするとしようか。
近づく傍ら、周囲を窺う。
ある程度銀ゴリの位置を把握しておけば不意打ちをされたとしても対処しやすいだろうと考えての事だけど、どうやらその必要は無さそうだ。
「お待たせ。」
「助太刀するわ。」
みんなが近くに来たから。
まずリリンとアカネ。
この2人は俺達の援軍としてこのまま黒ゴリと戦うようだ。
そして残りのみんなが銀ゴリの牽制と対処をしてくれている。
これなら黒ゴリのみに集中していける。
「さて。それじゃあ第二ラウンドの開幕と行きますか!」
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