第918話 その辺も気にしてあげた方がいいだろう。的なお話

カジノの次はウィンドウショッピング。

特にここに行きたいとか無いから適当に見て回るとも言う。


時刻は今3時過ぎだし適当に2時間ほど回って終わりってところか。

さーて、何があるかなぁ。

最初に目についたのは露店。

単純なアクセサリーショップのようだけど、リステルと違ってここのはデザインが凝ってるのが多いな。


「あ、これかわいい。」

「どれどれ……安いな。買ってあげるよ?」

「本当に!?」

「ああ。これが気に入ったんだろ?」

「うん!」


セフィアが気に入ったようなので買う事に。

しかし、本当に安いな。

当然効果も落ちるだろうけど、アクセサリーは効果のみを追求するような物でも無いしな。

装飾品なのだから。

見た目重視なのも何もおかしくはないだろう。


「似合うかな?」

「当たり前だろ。」

「えへへ。」


セフィアが買ったばかりのネックレスを着けて見せてくるので当然のように褒める。

まあ、セフィア自身がかわいいからよっぽどのものじゃなければ似合うのは当然だ。


「レント、私にも買って。」

「いいよ。どれが欲しい?」

「これ。」

「これだな。じゃあ、これも下さい。」

「はいよ。べっぴんさんばっか連れて羨ましいね〜。」

「まあね。ほい、リリン。」

「ん。どう?」

「これもつけた方が……うん。かわいい。」

「ん。」


リリンが選んだのはイヤリングだったのでそれが見えるようにヘアピンで髪を留めてあげた。

もちろんそれも似合う。


「さて、次はルリエだな。」

「え、いえ、私はいいですよ。」

「遠慮しなくていいんだぞ?」

「いえ、本当に大丈夫ですから。」


ルリエがチラリと露店商を見た。

ああ、なるほど。

そういう事なのね。

ここには好みの品が無かったと。

でもそれを店主の前で言うのは憚られると。


「まあ、無理強いはしないけど、欲しいものがあったら何でも言ってくれ。」

「はい。」

「みんなもな。特にレイダさん。遠慮は無用だから。」

「は、はい。」


レイダさんにはちゃんと言っておかないと絶対何も言わないだろうからなぁ。

でもみんなと言ってしまった以上は覚悟しないといけないな。

多分、きっと……いや必ず蒼井が何かねだってくる。

恋人じゃないからと断ってもいいが、それをするとリィナさんが気まずく感じてしまうかもしれない。

それは避けたい。

でもまあ、ここはリステルと違って安いし、露店をメインに見て回ればそこまでの出費にはならないだろう。

高そうな店でも普通に買えるけど。

でも出費は抑えるのは基本だ。


「まさか本当に買うとは……。」

「え、何がですか?」

「迷宮都市に比べて質が落ちるだろう?」

「何の質ですか?」

「何って、そりゃアクセサリーの質だろう。効果なんて大したものではないはずだ。」

「確かに効果だけ見ればそうかもしれませんが、向こうは実用性重視ですから。デザインはこちらが上ですよ。というかですね、そんな格好しながら実用性重視とか流石にどうかと思いますよ。」

「確かにちょっと、ね。」

「というわけで、予定変更してリィナさんをコーディネートしようと思うんだけど、どうだろうか?」

「面白そうじゃない。私はやるわよ。」

「ん。面白そう。」


俺がそう言うと蒼井が真っ先に面白そうと言い出し、リリンも便乗しだした。


「ちょっと待ってくれ! 私は別にそんな事望んでなんか…「まあまあ。落ち着いて。代金は俺が払いますから。」…別に代金を気にしてるわけじゃ……。」


文句を言うリィナさんはリリンに引っ張られてお高そうなお店へ。

以前変な男しか来ないと愚痴っていたしねぇ……それなのに実用性しか見ないとなると、リィナさん自身にも問題がある気がするよ。

一応教え子だし、その辺も気にしてあげた方がいいだろう。

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