第919話 しょうがないと諦める。的なお話

リィナさんを引きずってお高そうな服屋に来たわけだけど、暇だ……。

セフィア達はそれぞれリィナさんに似合うと思う服を集め、そのまま試着室へ向かった。

というか1人何着も持って行ってるんですけど、どれだけ時間かかるの?


「レントは座って待ってて。」

「ああ。」


というわけで暇してます。

俺は男だからな。

流石に試着室にまで付いていくわけにはいかない。

まあそれに、服を選ぶのも俺には無理だしな。

自信ないし。


どれくらい時間がかかるか分からないし、何をしてよう。

多分1時間は掛かると思うしなぁ……素振りは店内でやるのは無理だろうし、外というのも目立つし他の客の迷惑になるから却下。

本は、まだ新作発売してないんだよなぁ。

ラノベ類は人前の読むのには不向き。

爪楊枝作り……木屑出るし無理。

あー暇だ。

でもここで嫁さんほっといてほっつき歩くのもどうかと思うしなぁ……あ、そんなこと考えてる間に5分くらい経ってる。

もういいや。

既に読んだけど、適当な本でも読んでよう。

面白い物は多少回数多くても楽しめるさ。


暫く本を読んで待っているとセフィア達に呼ばれた。

やっとか。

結局1時間半くらい掛かってる。

何度か他の服とかも持って行っていたしそうなるのも仕方ないか。


試着室から出てきていたリィナさんはどうやら化粧までしているようで美人度が増してる。

服装も清楚系な感じで普段とは違った感じで大変良い。


「うわぁ! 凄い似合ってますよ!」

「そ、そうか……?」

「はい!」

「そうか!」


随分と嬉しそうだけど、どんだけ自信なかったんだよ……。

普通に美人さんなのにな。


そのまま帰るので、その前に会計をしたのだけど、確かに高い。

いや、俺の感覚的ではなので実際はそんなことないかもしれないけど。

でもセットで3万近くするのは……ねぇ?

この世界じゃ日本と違って機械による大量生産ができないから基本手作業。

大量生産するにしたって沢山の従業員を雇わないといけないのでそこまで安くは出来ないはず。

だから仕方ないんだろう。

でもやっぱ高くない?


日が暮れるまでまだ時間があるのでウィンドウショッピングを再開。

さてさて、何があるかな〜?

一見無駄なようで実は無駄じゃない、でもやっぱり無駄かもしれない面白アイテムとかないかな?

なんかもうね、待ち疲れちゃったからなんかよく分からない物を面白おかしく見て楽しみたい。


とはいっても、そういうのはやはりリステルの方がありそうで、ここカインでは無さそうだ。

王都なら変わり者の発明家とか割と居そうだからあるかもしれないけど、行ったことないしな。

そうして幾つかの露店を見ていくと、ルリエがあっ! と小さく声を出した。


「どれ?」

「えっと、これです。」

「おっちゃん、これくれ。」

「毎度あり〜。」


すかさず買ったぜ。

お気に召した商品を即座に着けたルリエを褒める。

可愛いは正義で、似合ってて可愛いのなら褒めるのは正義に準じた正しき行いという事だ。

褒めない方がおかしい。

……なんか、テンション変になってるな。

一旦冷静にならないと。


その後、アカネ、シア、ルナが欲しがる物を順調に購入し、欲しそうにちらりと見ていたレイダさんの視線から察して購入、プレゼントをした。

恋人とは言っても、ただ単に式をあげてないだけなので嫁達と差はつけちゃいけない。

こういう事もちゃんとしないとな。


「風見、私これね。」

「やっぱ来たか……分かったよ。」


忘れててくれたら良かったんだけど、蒼井ならそれはないか。

俺が買う事になってしまったが、自分で言ったんだししょうがないと諦める。

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