第896話 アイテムボックスやアイテムバッグがあると便利だね。的なお話
カインに行くとなると急いで準備する必要があるな。
特に武器のメンテ!
働きたくないなどと言っていられない。
俺のは折れて代わりに紅剣アヴニールを貰ったばかりなのでメンテは必要ない。
というか、どうやるの?
魔剣なんて出来ないよ俺。
後でアリシアさんが教えてくれることを祈りつつ、最悪、グラハムさんかアデラードさん経由で凄腕の鍛治職人を紹介してもらおう。
メンテはもちろん、教えて貰えたら教えて貰う。
「じゃあ俺は今からグラハムさんの所に行ってくる。武器のメンテは必要だからね。みんなの武器貸して。それと、みんなは準備の方をお願いできるかな?」
「勿論だよ。」
「じゃあ頼んだ。」
みんなの武器を受け取ってエリュシオン邸を後にする。
「こんにちはー。」
「ん? おめえ、レントじゃねーか! どうした? 今ダンジョンに潜ってるはずじゃねーのか?」
「あー、色々ありまして、早めに帰ることになったんですよ。」
一般の人に神様関連の事を言えるはずもなく、当たり障りのない事しか言えないな。
「ま、無事ならそれでいいさ。また挑めば済む話だ。死んだら元も子もないからな。」
なんか、逃げ帰ったみたいに思われてない?
それは困る。
というか、その誤解は絶対に解くべきだ。
「いや、そんな事じゃないですから。大きな収穫があって早めに帰る必要があっただけですから。」
「そうか? それで、今日は何の用だ?」
「今度はちょっとカインに行くのでその前に武器のメンテをと思ったんですよ。」
「そういう事なら遠慮なく使ってくれ。」
いつもの場所でいつものように武器のメンテ。
鍛冶場がいつもになる冒険者ってどうなんだろ……。
〜セフィア視点〜
急遽カインに行く事になったのでその為の準備をするのだけれど、何をすればいいのかな?
食糧……レントが持ってる。
着替え……レントが持ってる。
野営道具一式……レントが持ってる。
本当に、何をすればいいの?
あ、1つあるじゃない。
出来ることが。
「みんな、お土産買いに行こう。」
「お土産?」
「うん。だって大体の物はレントのストレージの中にあるんだもん。精々迷宮内で使った物の補充をするくらいだけど、それにしたってレントがいた方がいいし、そもそも全体数から見れば使った分なんて微々たるものだよ。だから出来ることなんてそうそう無いんだ。」
「だからってなんでお土産なの?」
「だってカインにはルリエちゃんの実家があるじゃない。なら、お土産買うべきだよ。」
「そういえばそうね。」
「あ、ありがとうございます! お母さんもきっと喜ぶと思います!」
「リリンも。リィナさん達にお土産買わないとね。」
「ん。お酒買う。」
というわけでお土産を買いに来たわけなのだけれど、何がいいかな?
迷宮都市は他の場所に比べて魔道具が安い。
それは魔道具の動力源である魔石の産出量がこの国で1番多いのは勿論、ダンジョンから出土する事も珍しくないから。
材料に関しても全部の魔道具が木や金属で出来ているわけではなく、他に使い勝手のいい素材だってある。
魔物素材とか。
そして、魔物素材ならば、ここ以上に多く出回っている場所はそう無いだろう。
そういうわけでここの魔道具は安い。
安いんだけど……他に比べてなだけで、高いものはやっぱり高い。
記録結晶のお陰で資金的には問題ないけど、あんまり高価な物だと受け取ってくれない可能性があるから吟味が必要。
なら一層の事ここでしか手に入らない食べ物とか……それはダメかな。
ストレージのことは隠しておいた方がいいから。
リリンの転移魔法は隠すべきものだけど、レントのストレージも大概だからね。
「ルリエちゃん、アメリタさんには何がいいか分かる?」
「お母さんには……そうですね。多分これが良いと思います。」
「本当にそれで良いの?」
「はい。」
ルリエちゃんが選んだのは魔道具ではなく、疲労軽減の効果のある指輪。
でも、元Aランク冒険者だったアメリタさんならもう持ってる気がするんだけど、でもルリエちゃんがそれが良いって言ってるんだもんね。
きっと大丈夫なんだろう。
「お父さんにはこれかな。」
リックさんにも疲労軽減のアクセサリー。
でも料理人であるリックさんには衛生的な理由でアメリタさんのように指輪じゃなくてドッグタグにしたみたい。
その後もお世話になった人達に渡すお土産をたくさん買った。
量が多いけど、やっぱりアイテムボックスやアイテムバッグがあると便利だね。
一通り買い終えた後、アデラードさんの家に帰った。
レントはもう帰っているかな?
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