番外編 セラさんのその日暮らし
〜セラ視点〜
これで書類のまとめは終了っと。
「んっん〜……はぁ。ようやく、終わったわね。ララも、またやらかしてくれたものね。」
もう半年以上もギルドで働いて居るのに、なんであんなにドジばかりするのかしら?
今回だって、普通なら何も問題ないはずなのに、何もないところで転んで大事な書類にお茶をぶちまけ、挙げ句の果てに拭こうとして破く始末。
お陰で書類作成に関わる各部署に頭を下げて一から作り直す羽目になったわ。
あー、疲れた。
明日はリィナ、トリア、キャロルの3人と一緒に依頼を受ける事になってるし、早めに寝ておきたい。
ちなみに男達は留守番。
偶には女だけでってのも悪くないという事になったから。
「ギルドマスター、書類の再作成終わりました。」
「ご苦労様です。明日は休みなのでゆっくりするですよ。」
「あー、明日はリィナ達と依頼に行く約束なので、ゆっくりはちょっと無理ですね。」
「そうなのですか。でも無茶はしちゃいけないのですよ。」
「分かってます。今はまだ勘を取り戻している最中ですからね。」
「ならいいのです。明後日も休みですし、明後日はちゃんと休むですよ。両方やりたいと言うのであれば、どちらかで無茶をして、もう片方を疎かにするようなことはしちゃいけないのです。」
「分かっています。では、私はこれで失礼しますね。」
「お疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
ギルドマスター室を後にして荷物を取りに戻る。
するとそこに苦労する原因となったララが。
「先輩! また迷惑をかけてしまいすみませんでした!」
「今度お昼奢ってもらうからね。」
「は、はい!」
「それと、次からはちゃんと注意してよね。周りへの迷惑はもちろん、自分の将来にも影響があるんだから。」
「気をつけます。」
「ならよし。それじゃ私は帰るね。」
寮の食堂なら格安で食べられるけど、量がね。
明日は冒険者仕事だし、力がつくように今日は外で食べましょう。
予算的にはどこかの大衆食堂かな。
安くて早くて多くて美味しいから庶民の味方なのよね。
◇
リィナ達との仕事を終えて森から出る。
今回の依頼は森の奥で取れる貴重なキノコの採取。
キノコ自体に危険性はないけど、このキノコは魔物が餌としている事もあり、その魔物と遭遇する可能性が非常に高く、薬師では取りに行くことが出来ないとして依頼になっていたもの。
そして見事その魔物と遭遇したわけなのだけれど、このメンツではなんの脅威にもならなかった。
「にしても、やっぱり便利よね、アイテムバッグ。私前のは売っちゃったから。」
「冒険者の必需品だからな。ないと話にならない。」
「それ、低ランク冒険者全員敵に回してるわよ。」
「ついでに私もね。」
「しまった……。」
「ま、いいけど。」
出てきた魔物丸々仕舞うところを見てしまうと、やっぱり欲しくなってしまう。
アイテムバッグが無いと素材の取捨選択する必要があるし数も多く持てない。
だからあると無いとじゃ収入に大きな差が出てくる。
私は幸い寮に住まわせてもらえているけど、他の冒険者だと装備品に備品、食糧等の必要な物に加えて宿代も必要で、出費が嵩むのよね。
宿、というか、住む場所についてふと思ったんだけど、レント君達の家、契約期限切れるんじゃないかな?
「ねぇリィナ。レント君達の家の契約期限って大丈夫なの?」
「ああ、それなら心配ないぞ。」
「あ、まだなの。全然帰ってこないし家財道具とかどうするのかなって気になったけど、まだなら大丈夫ね。」
「いや、期限なら切れていたけど、すぐに私が借りたからな。」
「はい?」
「こういう時くらい師匠らしい事したいしな。」
「そんな事言って、本当は帰ってきた時に少しでも心象よくする魂胆なんでしょ?」
「な、何を根拠にそんな……。」
「2人とも結局レント君狙いなんだね。」
「「なっ!?」」
しまった!
ついうっかり……トリアもキャロルも上手くいってるからって私達の世話焼こうとするのよね。
これ、今夜はまた飲む話になりそうね。
「その辺のこともう少し詳しく聞きたいし、今夜は飲みましょう?」
ほらね。
ま、明日は休みだしいいか。
逆に根掘り葉掘り聞き出してあげましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます