第866話 転移魔法を使って。的なお話
〜ユキノ視点〜
何が起きたのだ……?
さっきまでそこに居たはずのレントが突然消えてしまった……。
なぜそんな事が……いや、今はそれよりもレントを探さなければ。
「いやあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
そう思っていたら、突然ユウキが悲鳴を上げ、そのまま気を失ってしまった。
何故に!?
セフィア達とは違ってお前はレントとはそういう関係ではないだろう!?
そしてそのセフィア達もレントを突然失って混乱している。
「え……何が……レントは何処に……?」
「そん……レント……。」
「お兄さん……一体何処に……ぐすっ、ヒック……。」
「ごごご、ご主人様がき、消え……ど、どどど、どうすれば……。」
「え……嘘……な、何が、起きたの……?」
「い、一体、何がどうなったのよ……レントは何処に消えたの……?」
「ね、ねぇ、レント……悪ふざけはやめてよ……記録結晶で転移しただけだよね? すぐにまた現れるよね?」
というよりも、全滅だ。
いや、こうなる事はなんとなく分かってはいた。
私達のメンバーの大半はレントとそういう仲だからレントに何かあった場合、ほとんどのメンバーが使い物にならなくなるのではと思っていた。
今実際にそうなったわけだしな。
だからこそ、ユウキには平常で居てもらいたかったのだが……。
何が理由かは分からないが、気絶してしまってはどうしようもないだろう。
ここは、私が頑張るしかないか。
まずはリリンほど広くはないが気配察知でレントが居るかどうか確認する。
恐らく意味は無いだろうが…………やはりか。
私の察知範囲内にはレントの反応もナタリアさんの反応もない。
少なくともこの階層には居ない。
2人が持っていたのは記録結晶だからそれが誤作動を起こしてと考えたかったがアテが外れた。
ならばどうする……ボスを倒した者を転移させる罠が仕掛けられていたのか?
分からないが知っていそうな者に聞いてみよう。
聞くとしたら……やはりサブマスターであるルキノさんだろう。
それにしても、天装の姫は流石だな。
不測の事態が起きクランマスターが行方不明だというのに周囲を警戒し臨戦態勢を整えている。
この辺は見習いたいものだ。
「すまない。この階層ではボスを倒した者を転移させる罠が仕掛けられていたのか?」
「あなたは落ち着いて居るようですね。」
「周りがああではな。それよりも、罠については?」
「残念ながら私達もこんな事は初めてです。今後の方策としてはまずは帰還結晶を使ってギルドマスターに報告。私達はダンジョンに残り周囲の階層の捜索が妥当ではないかと。また、先程の罠がまだないとも限らないので常に纏まって行動した方が良いでしょう。」
「そうしたいところだが……すまない。ウチは無理そうだ。報告はこちらがするのでそちらは捜索をお願いできるだろう?」
「もちろんです。こちらもクランマスターが転移してしまっていますし。代わりと言ってはなんですが、食糧の提供をお願いできませんか?」
「構わない。むしろそれくらいやらせてくれ。」
「待って!」
「セフィア? 大丈夫なのか?」
「……大丈夫じゃないよ。でも、僕達がレントを助けないと。レントは今1人なんだよ。なら僕達が助けるしかないじゃないか。」
「あの、ナタリアが一緒にいるんですけど。」
……まだ混乱しているようだな。
「ですが、では誰がギルドマスターに報告するのですか?」
「……リリン。」
「ん。分かった。」
そうか。
だが、この状況では使う他ないか。
「リリン。ユーリちゃん達もお願い。」
「ん。」
そしてリリンはユーリ達を連れてアデラードさんの元に向かった。
「え、は、ちょっ……今帰還結晶なかったよね!?」
転移魔法を使って。
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