第836話 それなりに稼げたんじゃないかな? 的なお話
無事10階層のボスを突破し、11階層へ……と、行きたいところなのだが、残念ながら今は午後5時を少し過ぎたあたり。
セーフティーエリアにたどり着くまでにどれだけの時間が掛かるか分からない以上は無理をすべきではない。
天装さん達だけなら余裕で夕飯時には間に合う事だろう。
しかし、俺達とユーリ達という足手纏いがいるのでそうはいかない。
ランクが高いからと無駄に自信過剰になる趣味はないです。
罠のあるダンジョンというのは……一応初心者ダンジョンで経験はあるけど、あれは死なないダンジョンだからね。
練習にはなるけど、あくまでも練習。
練習と本番は別物。
それも、下手したら死んでしまうような本番だ。
自分は大丈夫と過信して死ぬよりかは足手纏いの方がまだマシ。
それに、ほぼ1日動いてるから疲労もある程度ある。
そんな状態よりも、疲労も回復している明日の方がいい。
そういった理由で11階層での探索は明日にし、今日はもう野営をする事に。
「あ、ナタリアさん。ちょっと殺戮ウサギで荒稼ぎして来ていいですか?」
「はい?」
野営のつもりだったんだけど、分配する人数が増えたのに戦闘が少なくて日数の割に実入りが悪くなるんじゃないかと思った。
だから荒稼ぎしたい。
そう伝えてみた。
「言われてみればそうですわね……。」
仮に今回の探索で500万くらい稼げたとして、それを19人で割って更に日数の24で割ると……計算するの面倒だな。
まあ、1日の1人あたりの稼ぎはそう大したものじゃないと思う。
ちなみに、今の俺達なら1日の依頼で100万とか超えられるだろう。
10人で割っても1人10万だ。
まあ、そこまではいかなくてもいいけど、少しでも稼ぎたい。
このままのペースだと赤字になりかねないし。
「では6時までの間稼いでおきましょう。」
「そうこなくっちゃ!」
「こなくっちゃ?」
「あ、いや……すみません。」
「いえ、気にしてませんわ。それよりも、もう少し砕けた話し方でもいいんですよ? 一緒に探索する仲間ですし。ラン相手も砕けた喋りになってますわよね?」
「その、ナタリアさんは女性ですし馴れ馴れしいのもどうかと……。」
「そ、そうですか……。」
「それに、最初が丁寧な話し方だったので変え時が分からないというのもありまして。」
「なるほど。ですが、私がいいと言っているので、今変えてもよろしいですよ。」
「分かり……分かった。極力気をつけるけど、つい丁寧な話し方になっても勘弁してくれよ?」
「ええ。」
ちなみに、ナタリアさんも丁寧な話し方じゃないかというツッコミは無しだ。
だってナタリアさん貴族じゃん。
貴族のご令嬢が丁寧な話し方でもなんら不思議じゃないし、そういう話し方しか出来なくてもおかしくはない。
子供の頃からそういう話し方をするよう教育されてそうだし。
まあ、中には話し方が雑なご令嬢もいるかもしれないけど。
そして始まる10階層周回。
目的は単純明解、お金なのでとにかく時間効率重視。
戦闘の工程とかは度外視で魔法による絨毯爆撃の連続。
ダンジョン外だと素材を綺麗な状態で残すようにしないといけないけど、ここだと死体は消えるから気にしなくていいのは楽でいい。
火魔法バンバン撃てる。
その結果、6時までの間に数十回周ることが出来、それなりに稼げたんじゃないかな?
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