第837話 明日の本番に臨むとしますか。的なお話

殺戮ウサギで荒稼ぎをした後は野営の準備だ。

いつも通りセフィア達に食材と食器、調理器具を渡して俺達はテント設営。

流石に一昨日のような無駄に豪華な感じにはしてない。

でも、ベッドの準備はした。

セフィアが作ったのをストレージに仕舞っといたのだ。

土で出来てるので見た目以上に重いけど、そこは容量無限のストレージ様。

余裕で入った。

やっぱりこれが1番のチートじゃね?

そしてその上に毛布やらなんやらを敷いて、と。

これで完成だ。


後は、夕食ができるのを待つばかり。

……しかし、流石にちょっと疲れたな。

周回の時に使っていた魔法は唯のファイヤーボールだった。

何人もいるから初歩中の初歩の魔法でも問題なく倒せたが、それでも何十発も撃てば疲れる。

俺でさえこれなのだから、ユーリ達はもっと疲れているだろう。


「ナタリアさん。」

「なんでしょう?」

「今日の見張りだけど、今日もユーリ達は外してくれないか?」

「構いませんよ。理由は、先程の戦闘……とは呼べませんね。殺戮ウサギ戦の疲労ですね?」

「そうです。あ、いや、ああ、その通りだ。」

「ふふ……気をつけてくださってるんですね。」

「いやまあ、そう言ったのは俺なので。」


やはりまだ丁寧な話し方になってしまう。

ランの時はすんなりといったのに……やはりオーラが違うのだろうか?

ランはああだけどナタリアさんは貴族だ。

その高貴な生まれ故のオーラが自然とそうさせるのだろうか?

ここでチラリとアカネを見てみる。

……ナタリアさんの容姿と雰囲気のなせる技だな。


「ただ、今回の野営場所は通路側と後ろの10階層からの階段。その両方を見張る必要がありますわよ?」

「だからそこは、少し人数を増やそうと思う。と言っても、1人だけどな。こっちが1人出せばそっちは2人、そっちが1人ならこっちは2人って感じで3人になるよう交互にやっていこうと思うけど、どうかな?」

「いえ、そこは気配察知持ちのラン、リリンさん、ユキノさん、ユウキさんに頑張ってもらいましょう。そうすれば1人ずつでも問題はないと思います。」

「でもそれは……いや、それでいこう。俺の案だとそっちは全員が見張りをしないといけなくなるしな。」


まだまだ序盤。

疲労が残らないように気をつける必要がある。

それなのに、天装側が全員見張りというのは良くないだろう。


「とはいえ、そろそろユーリ達にも見張りをしてもらいたいな。」

「そうですわね。ランクが低くても冒険者。あまり優遇をするのも良くありませんわ。」

「なので、明日からやってもらおうと思う。その際だけど、そちら側に入れてもらえないか?」

「10人と9人で人数の均整を図るわけですわね。」

「ああ。ただ、流石にイリスさんとレヴィはランクが低いからこっちのランクの高い俺、セフィア、リリン、アカネの誰かと一緒にしてもらうけど。」

「それがいいと思います。」


まあ、戦力としては微妙だけど……いや、そうでもないか。

ランクこそDだけど、近いうちにCに行けるだろう。

それくらいの実力はある。

まあ、基本的にCからが長いんだけど。

俺達は加護やら恩恵があるから例外。


「じゃあ、ユーリ達に伝えてきますね。」

「お願いします。」


ユーリ達に伝えると特に反対意見もなく、というか、今の状況はあまり良くないとは思っていたようだ。

負んぶに抱っこ状態だからね。

そりゃ気にするか。


夕食も食べ終わり、見張りとなるが、リリン、ユキノ、蒼井の3人は確定。

後1人は、本人がやりたいと言っていることもあって、セフィアがやることになった。

セフィアは心優しいからね。

自分だけやらないのが申し訳ないと思ってるのだろう。


「4人とも、今夜は任せたぞ。」

「うん、任せて。」

「ん。」

「勿論だとも。」

「ま、任せときなさいよ。」

「それじゃ、おやすみ。」

「「「「おやすみ。」」」」


久しぶりの長時間睡眠だ。

これで疲れを取って明日の本番に臨むとしますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る