第811話 そして主人公が不憫。的なお話
天装の姫との親睦を深める為の飲み会をした翌日から、再び俺はバイトに勤しむ事に。
そして皆はもう準備も済ませてする事がないからとレイカーさんが持ってきた魔道具でアニメを観まくってるらしい。
羨ましい事この上ない。
俺も色々観たい!
久しぶりにあのアニメ達を観たいし、アニメ化するって話のあったあのアニメに、あのアニメの映画も観たい!
「んじゃ、今日はこれを頼むな。」
「分かりました。」
でも現実はこれ。
今回作るのは鎧のパーツらしい。
革と金属の混合鎧の肩の部分が割り当てられた。
左右合わせて40個。
なんだろう?
こうしてずっと同じパーツを作ってると自分が機械になったような気がしてくる。
前回は全部1人でやってたけど、今回はパーツのみだから余計にロボット感を感じてる。
工業ロボットってそんなイメージだし。
◇
翌日。
バイト最終日だな。
明日からはダンジョンだと思うと……何もないな。
飲み会は楽しかったしダンジョンは楽しみなんだが、バイトのイメージが強すぎて胸にくるものがない……。
「今日は相槌を頼むわ。普段任せている奴が腰やっちまってな。代わりを頼みたいんだ。」
「いや、それなら他に適任の人がいくらでもいるんじゃ……。」
「ああ、だめだめ。他のは専属してる奴らの装備を見てたり別の仕事を任せてるんだ。だからお前しか空いてないんだよ。」
「そういう事なら……で、何を作るんですか?」
「大戦斧だな。ま、こいつは飾りみたいなもんだしそこまで気負う必要はない。気楽にやってくれ。」
「飾りっていうと騎士とか貴族の家に飾る用ですか?」
「いや、そういうんじゃなくて、売りもんだけど買う奴なんてまずいねーからよ、飾るだけになるって意味だ。ほら、ここは迷宮都市だろ? 大戦斧は破壊力があるから大物相手にするには持ってこいだが、ダンジョンの通路だとデカすぎて周りを巻き込んだり壁にぶつけたり上層では邪魔にしかならない。だから基本買う奴がいない。だが稀に買う物好きや冒険者が多くいるここなら腕のいい職人がいるだろうと考えてやってくる奴ら用にこうしてたまに打ってるんだ。」
「そういう事ですか。」
ボスのいるところなら使えるだろうけど、それ以外だとちょっとな……って、上層では?
なんだろう?
ダンジョンらしいダンジョン以外もあるのだろうか?
最近だとダンジョンで街づくりしたりする話もあるからこう、アリの巣状や遺跡風以外にもあるのか?
まあ、それはそのうち分かることか。
「まずは練習からだ。その後本番だからちゃんとついてこいよ。」
「はい!」
◇
「とまあ、こんな感じだったよ。そっちはどう?」
バイトも終わり、報酬を受け取って帰路に着いた俺はのんびりと夕食を食べつつバイトでの事をみんなに話す。
ついでにみんなが何をしていたのかを聞いてみた。
「僕達は特に何もないかな。精々2日間みんなでアニメを観ていただけだし。」
さらに詳しく聞いてみたところ、どうやらセフィア達はバイトをしている間ずっとアニメを観ていたらしい。
もちろん途中休憩を挟むし食事もする。
それでも1日大体8時間くらいは観ていた模様。
それを4日だから32時間……観過ぎだろ。
やはり馴染みのない文化にどハマりするのはまずいな。
目が悪くなったらどうするつもりなんだよ。
あ、でもメガネかけた嫁達はきっとかわいい。
今度伊達メガネ買ってこよう。
じゃなくて、目に悪いからある程度制限をつけたほうがいいかも。
「それで何を観てたんだ?」
「最初はB◯ACK CATの続きを観てたんだけどそれが終わったから、同じじ⚪︎んぷ? 作品で鎧つけてたア◯シールド21っていうのを観てたんだ。ちょっと予想と違ってたけど、面白いね。」
鎧着てたから戦闘すると考えて観たんだね。
でも実際はアメフトだから予想と違ったと。
リリンがあれをやったのはそういう理由でか……というか、主人公がアメリカ横断してやっとの事で身につけた技を軽々とやるとか、うちの嫁すごい。
そして主人公が不憫。
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