第797話 ギルドの訓練場へと向かった。的なお話

バイトバイトであっという間に連携の訓練となった。

バイトはひたすらに剣を作る日々で大変だった。

主に精神面で。

ずっと同じ物を作ってたからね。

だからこの機会に少し気分転換をしたい。

所で、どこに行けばいいんだろうか?

集まる場所決めるの忘れてた。


分からなかったらとりあえずギルドへ。

相手も冒険者なのでギルドに居るかもしれないし、訓練という事なら真っ先に浮かぶのがギルドの訓練場だから。

しかし残念な事にナタリアさん達【天装の姫】はギルドのどこにもいなかった。

どうしよう……このままここで待つか、それとも探しに行くか……。

ま、両方やればいいか。

ウチ人数多めだし。


「半分ここに残って残り半分で探しに行こうか。」

「行き違いになるかもしれないし何人か残った方がいいもんね。」

「ああ。でだ、とりあえず30分程を目安にしてここに戻ってくるって事で。探しに行くのは俺、セフィア、リリン、アカネ、ユキノだ。ステータスで選んだ。1番速いリリンには街の外を見て来てほしい。残りで俺達を誘いに来たという可能性を考えてレイラン、エリュシオン邸、まだ準備中という可能性で天装のクランハウス、なんらかの理由の可能性を考えて街の中だ。向こうも同じように捜して居るとかな。」

「じゃあ、僕はクランハウスの方に行くよ。レントだと取り合ってもらえないかもしれないしね。」

「あー、そうだな。じゃあ頼む。俺はまあ、街の中を捜すよ。」

「私はエリュシオン邸にするわ。」

「では私はレイランか。」

「じゃ、捜索スタートだ。」


5人で一斉に駆け出す。

途中でみんなと別れて街の中を捜す。

俺達に関係している所はみんなが捜してくれているから、俺はそれ以外の場所、例えば武器屋や防具屋といった場所を中心に探していく。

もしかしたらと思って食材を取り扱っている店なんかの方でも捜してみたが残念な事に見つからない。

俺っていつもこうな気がする。

物語だと結構簡単に出会ったりとかするのに、実際は空振りや空回りなんかしてる。

こういう時携帯なんかの連絡用の魔道具があると楽なんだけどなぁ。

でもそういうのってあるのか分からないし、あったとしてもすごい高いのだろう。

一冒険者である俺には縁の無い話か。


そんなことを考えながら捜索すること30分。

結局俺は見つけることが出来ずにギルドに戻る事に。


「お手数おかけして申し訳ありません!」


ギルドに戻った瞬間ルキノさんに謝られてしまった。

なんでも、盾職のアンジェラさんが盾を整備に出してそのまま忘れていたそうで、それを取りに行ったせいで少しばかり遅れてしまったそうだ。

いや俺、そっち方面の店も探したんだよ?


「いやー、ワリーな。でもたった10分の事だし誤差って事で勘弁してくれ。」

「10分は全然誤差じゃないでしょう!? 本当にすみません!」

「いや、ルキノさんが悪いわけではないですし、そんなに謝らないでください。」

「そーそー。」


どうやらアンジェラさんとやらはかなりいい加減な性格をしているようだ。

そーそーって、それはあなたが言ってはいけないセリフだろうに。

そしてこんな所でも苦労人の由来が垣間見えるとは……お疲れ様です。


「俺、武具屋関係の店も回ったんですけど、なんで会わなかったんでしょうか?」

「あ? そりゃおめー、運が悪かっただけじゃね? まあ、アタシも慌ててたしお互い気付かなかっただけかも知んねーけどさ。」


そう言われて気付く。

俺、天装の顔4人くらいしか覚えてないや。

それなら気付かなくても仕方ないか。

多分ナタリアさん達はクランハウスでアンジェラさんの事を待っていたのだろう。

だから1人でいたアンジェラさんには気付かず、クランハウスで合流した後にここに向かったと。


「じゃあ、セフィアが見つけたって事か。」

「うんそうだよ。クランハウスに向かってる時にばったり会ってね。それでここに連れてきたんだ。」


どうやら予想は当たってるみたいだ。

もしくは普通に行き違いになったか。


「こちらの不手際とはいえ、時間も押してますし、直ぐに始めましょうか。」

「そうですね。」


無事合流した俺達は連携の訓練のため、ギルドの訓練場へと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る