第795話 ……なんてね。的なお話
シルヴィアを探してギルドかグラハムさん所に行こうかと思っていたけど予定変更。
シルヴィアよりもルナの方が大事だ。
というわけで早速防具の中でも布製品を取り扱っているお店へ。
そういえば店名知らないや。
ま、店に行けば分かるだろうし今度は忘れないようにしておけばいいさ。
とか思っていたらこんなタイミングでシルヴィアと遭遇してしまった。
普段は全然会わない……というか会ったことすら無かったのに何故こんな時に……。
「ここに居たのか。今お前を探していたんだ。」
「さらば!」
「以前言っていた……さらば? って、何故逃げるのだ!?」
「今ちょっとデート中! 大剣ならグラハムさん所に預けといてくれ。後で診ておくから!」
ここでシルヴィアに拘束されては折角ルナの装備を預けに行くというのにそれが台無しになってしまう。
どうせならこのままダンジョンの準備という名のデートでもとも思ったりもした。
「で、デート!?」
「好き合ってる男女が出掛けるんだからデートだろ?」
といっても、そうでない奴もいるが、細かい事は気にしない。
そして目的の店に着く。
店名はダリア洋裁店だった。
店主の名前がダリアなのかな?
それとも、ダリアって花の名前だけど店主が好きでそう名付けたのかな?
B◯ACK CATのオープニング曲を長らくダリアの花と勘違いしていたのは恥ずかしい過去だな。
「いらっしゃいませー。」
「すみません。今度ダンジョンに行くのでこの子のローブに問題ないか診てもらえませんか?」
「ああ、はいはい。大丈夫ですよ。ではちょっとこっちに来てくださいねー。」
「は、はい。」
「ふんふん……なるほど。少々汚れていますが問題ないですよ。こちらでクリーニングも出来ますがどうしますか?」
「えと、5日後までに、出来ますか?」
「5日後はちょっと無理ですね。今ちょっと注文が立て込んでまして、10日程掛かってしまうので。」
「そういう事なら仕方ありませんね。では、診てもらった分の代金を……」
「ああいえいえ。ちょっと見ただけですから別に要りませんよ。修繕が必要ならともかく、そうではないですし。」
「そうですか……?」
「はい。」
「では、代わりにこの子に似合う服を上下セットで見繕ってくれますか?。」
「レント!?」
「かしこまりました。」
ルナが驚いているが、何も買わないというのは心情的にちょっと辛いという理由もあるので気にしないで欲しい。
「あーいいなぁ。僕も欲しいなぁ。」
「そうだな。じゃあ、みんなの分もお願いしようか。」
「本当!? やったぁ!」
「ん。」
「うん、リリン。その服はやめようか。」
みんなの分もお願いすると言った瞬間リリンが凄まじい速さで服を物色し1着の服を見せて来た。
その服は、控えめに言って露出が高い物だった。
もちろん控えめなので、実際はかなりいやらしい感じ。
ぶっちゃけ、大事な部分が隠れない奴。
そんなの見た事ないんですけど!?
いつ着るのそれ!?
「こちらなんてどうでしょう?」
「おお、良いんじゃないかな。でも……それだと胸元がキツそうですね。」
「え? そうですか? 大丈夫だと思いますけど……?」
ああ、そうか。
ルナは普段から魔法で隠しているんだったな。
夜は隠してない状態で見てたりするけど、普通の人は知らないんだった。
「ルナ、悪いんだけどちょっと解除してくれるかな?」
「え? ……………う、うん。」
周りをキョロキョロと見渡して男がいないか確認してから魔法の解除をする。
「……………………………え? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
魔法を解除した途端膨れた胸に驚きを隠せなかったようで大声をあげる店員さん。
そしてその大声に驚くルナと他の店員さん。
うん。
確かにこの大きさには驚くよね。
ルナ小柄だし。
「確かにそれだけあればキツイですよね!? 私別のを探して来ます! それはもう、絶対に似合う奴を! すれ違った100人が100人全員振り返るようなのを!」
「え、あの……」
ルナが声をかけようとするもエンジン全開だぜヒャッハー! って感じで駆け出す店員さんには届かなかった。
どうやらアパレル店員の本能に目覚めてしまったようだ。
後のファッションリーダーが誕生した瞬間だった……なんてね。
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