第794話 気休めにしかならないのにな。的なお話
「それでそちらの6人は誰になりますか? こちらはいつも通りのメンバーですけど。」
「そうですわね……まずは私とルキノ、そしてランとフランベル。この4人は確定でしょう。残りの2人ですが何か希望はありますか? 一応人材はそれなりには揃っていますから。」
「えーと、とりあえずルーニャさんは無しでお願いします。上手くやる自信がありません。」
「あはは……もちろんです。」
うん。
あんな男嫌いではとてもじゃないが無理。
あんなんで今までどうやって生きてきたのか少し気になるけど関わりたくないので聞かない。
触らぬ神に祟りなしだ。
アリシアさんはちょっと触れたからって祟りや天罰下すような懐の狭い神じゃないけど。
「そういえば、そちらは盾持ちの人が居ないんでしたね。」
「はい。盾を待つだけの体格のいい人が居ないですし、そもそも転向させても大変なだけですから。」
「では、残り2人は盾職の者にしましょう。アンジェラとビスカあたりがいいでしょう。この2人ならば前に会っていますし安心でしょう。」
「その2人でお願いします。」
覚えてないけどね!
どんな人か全然分かんないけどね!
でも悪い印象の人はルーニャさんくらいだから多分大丈夫。
「最後に、ダンジョンで得たものですが、基本的には全て売却し、それで得たお金を折半。魔道具等の何か欲しい物があった場合は希望者が貰い、希望者が複数いた場合は話し合いかじゃんけんで決めるということで。」
「それで構いません。」
「ではひとまずこれで。何かありましたらまた話し合いの機会を設けるということで。」
「はい。それじゃお邪魔しました。」
「3日後にまた会いましょう。」
天装のクランハウスを後にして、俺達は次の目的地であるリスティーンへ。
「いらっしゃ……レントさん!」
声に若干疲れが出ているが、俺を見た途端一気に表情が華やぎ、声もハリが出る。
愛い人だ。
「装備のメンテをお願いしたいんだけどいいかな?」
「もちろんっすよ! レントさん達なら最優先でやるっすよ!」
「いや、そこまでしなくていいから。」
他に客がいなくて良かったよ。
もしもいたら問題になってただろうから。
「1週間後にダンジョンに挑むからそれまでに出来ていればいいからさ。」
「分かりましたっす。それで、何か要望とかはあるっすか? 例えば、ここを調整して欲しいとか、ここにポケットがあると助かるとか……。」
「収納に関しては特に困ってないし、調整する所も思い当たらないかな。みんなは?」
「サイズ調整。胸がちょっときつい。」
「え、ちゃんと測って作ったはずっすけど……。」
「育てられた。」
「ま、まさかレントさんの手にはそんな力が……。」
「待て待て待て! そんな力あるわけないだろ! ただ単にまだ育ちきってなかっただけだろ!? 実際、背も少し伸びてるじゃないか!」
うん。
もう18くらいになるんだけど、リリンまだ育ってるんだよね。
だから、俺が育てたというのは断じて違う!
いや、揉んでるけどね。
でも違うから。
蒼井はそんな悩む素ぶりする必要ないから。
そんな力無いんで。
そしてシアは全然全くこれっぽっちも変わってないからって遠い目しないで。
シアのもちゃんと好きだから!
「えと、そういう事なら、調整させてもらうっす。リリンさんには後で測定させてもらうっすけど、いいっすよね?」
「ん。」
他のみんなはこれといって要望はなかったようで普通に渡してる。
そしてリリンの測定のためにほんの少しフェードアウト。
「あれ? ルナどうしたんだ?」
待っている間暇だなとか思って周りを見てみたらルナがちょっぴり寂しそうな顔をしていた。
なんだろ?
「な、なんでも、ないよ。」
「なんでもないことはないだろ。どうしたんだ……って、ひょっとして、自分だけ装備が違うから寂しくなっちゃった?」
ピクッと反応した。
当たりか。
本人は黙秘してるつもりなんだろうけど、こういう時のルナは肩が少し上がる。
「後でルナの装備も見てもらいに行こうな。」
「あ……うん!」
ちょっとだけ語気が強くなってる。
かわいい。
「お待たせしたっす。測定は済んだので後は任せてくださいっす! 空いてる時間を使ってやるっすけど、5日後までには全部終わらせるっすから!」
「お願いするけど、あんまり無理はしないでね。回避主体だからそんなに傷んでないと思うしさ。間に合わなくてメンテ無しでも大丈夫だから。」
「そういう考えが命取りっすよ!」
「本当に大丈夫だから。最悪、神頼みするからさ。」
「あ、それなら安心っす。」
知り合いに神がいるせいで、神頼みで安心できてしまうというのは不思議な気分。
普通、神頼みは気休めにしかならないのにな。
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