第785話 きっとすぐに現れるだろう。的なお話

………………あさ?

鳥の鳴き声が聞こえない。

……ああ。

そうか、もう昼なのか。


「ふぁ〜……はぁ。」


昨日はナタリアさん達天装の人達と夕食を食べた。

そこまでは良かったんだが、宿に帰り、風呂を済ませたところで我慢が限界を迎えた。

そして俺は嫁達に襲われた。

リリンはいつもの通りだが、珍しいことにアカネも積極的だった。

やっぱりジェイル家の事でイラついていたんだろうな。


みんなは……まだ寝てるか。

ま、昨日の今日で仕事なんかないだろうしゆっくり寝かせておこうかな。


「おはよー。」

「おはよう。そしてこんにちは。」

「あれ? ユキノは?」

「なんか買いたいものがあるとかで街にふらりと出かけてったわよ。」


ちなみに、嫁さん達とアカネ以外にシアとルナ、そしてレイダさんも昨晩は混ざってた。

うーむ。

そういう"事"になると途端に人が減るな。

無関係なのもう2人だけじゃん……。

せめてこの2人とはそういう事にならないといいなぁ。


「どうしたのよ?」

「いや、別に。」

「ふーん。それにしても、あんたは随分と……昨夜はお楽しみでしたね。」

「ぶっ!」


こけそうになったわ!


「若いしそういう事はするなとは言わないけど、少しは周りにも気を使いなさいよ。」


いや俺、襲われる側なんですけど。


「もしも何かあった時に大半が戦闘不能とか困るんだからさ。」

「善処する。」

「それ、やらない奴よね?」

「気の所為だ。それに俺、政治家じゃないし。」

「期待してるわよ。」


席に座り、朝食兼昼食を注文する。

宿の客としててはなく食堂の客だから朝晩の値段と比べてちょい高いがまだ余裕だ。

そうして出てきた料理を食べていると、ポツリと蒼井が喋り出す。


「そういえば、私達ももう18になるのよね。」

「そうだな。」


細かな日数を数えてはいないけど、こっちの世界に来てから多分2年近くになるはず。

俺がこっちに来たのは高1でそこから2年なら18くらいの年齢になる。

18か……日本なら結婚可能になる年齢か。

こっちだと……なんだろうな。


「結構、早いものね。あんたが死んでから、2年になるんだから。」

「そうだな。」

「私もそろそろ、相手を見つけないと……。」

「まあ、こっちだと女性は大体20くらいで行き遅れ始めるということで焦りだして25過ぎれば完全に行き遅れだからな。まだ2年あると考えるか、もう2年しかと考えるかはお前の自由だが。……誰かいい人とか居ないのかよ?」

「生憎と、ピンと来る人が居ないのよ。」

「ルーカスさんは?」

「絶対パス。ノーサンキューよ。大体10こくらい上じゃない。そんなの相手になるわけないじゃない。せめて差は5くらいじゃないと。」

「じゃあ、カルロ。」

「それもパス。見た目好みじゃないし。」

「クルト。」

「それも無し。趣味じゃない。」

「わがままだなぁ。」

「別にいいでしょ。まだ2年あるわけだし。それに、いざとなったらあんたで良いわよ。」

「…………は? 俺? お前、俺の事嫌ってるんじゃないのか?」

「そんなわけないでしょ。嫌いな奴と一緒にいるわけないじゃない。むしろ好きな方よ。ま、恋愛としての好きじゃないけど。ちょっとドキッとした?」

「いや、全然。」

「……そこは少しは反応しなさいよ。実際問題、あんた以上に話の合う奴はいないのよ。それに女遊びはしないし、浮気もしない、酒癖も悪くないし金遣いも荒くない。心根は善良で優良物件なのよ。見た目も好みな方だしね。」

「そりゃありがとさん。」

「ま、実際まだ2年あるわけだし、そんな急ぐ事もないし、気長にやるわ。」

「2年でできるといいな。」

「そうね。」


ま、流石に大丈夫だろう。

蒼井はこんなだけど、見た目美少女だしきっとすぐに現れるだろう。


〜セフィア視点〜


すごいこと聞いちゃった。

これは妨害した方がいいかな。

あ、でも普通に異性として意識するように仕向けた方がいいのかも。

ちょっとリリント相談しよ。

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