第724話 あくまでもそれは最終手段だ。的なお話

「ただいま。」

「おかえり〜。」


宿に帰ってセフィア達に帰ったことを伝えると、おかえりと帰ってくる。

それが嬉しい。

嬉しいのだけれど……。


「服を買いに行ったんじゃないの?」


セフィア達は全員朝別れた時の格好と同じ格好をしている。

どんなかわいい格好になっているかと、ワクワクしながら帰ってきたのにな。

なんだか少し悲しいや。


「買ったけど、それはまた今度のお楽しみってことで。」

「そうか……。」

「でも期待しててよ。シアちゃんもルナちゃんも、レイダさんもみんな可愛い服とか色々買ったからさ。」

「そうか。それなら楽しみにしてるよ。」

「それよりも早くご飯食べようよ。もうお腹ぺこぺこなんだけど!」

「ああ、待ってくれてたのか。それはすまん。すぐに行こう。」


蒼井がゴネてきたが、俺も腹が減っているのですぐに食堂へと向かう。

風呂は夕食の後だな。


「それで、レントは何を作ったの?」

「ん?」


もぐもぐと夕食のオーク肉のシチューを食べているとアカネが聞いてきた。

だからストレージから取り出してみんなに見せていく。


「えーと、これとこれ、あとこれだな。」

「これ、何? ヤスリ?」

「あー、メイス、かな。一応。」

「一応って……どう見ても大きなヤスリなんだけど。」

「いや、最初は普通のメイスを作ろうと思ってたんだよ。ただ、何もないと淋しいというか、つまらないというか……それで何かつけようと思って、気づけばそうなってた。」

「気づけばって……もう少し考えてから作ろうよ。」

「いや、それはもうグラハムさんに言われたから。ちなみに、こっちのはハンマーだけど、威力上げようと思って手を加えた結果しなって伸びる使いづらい物になった。ストレージの肥やしにする予定。」

「肥やしってちょっと勿体なくない?」

「じゃあ蒼井が使うか? その内削り姫とか呼ばれるようになるかもな。」

「…………肥やしでいいと思うわ。」

「そうか。」


まあ、削り姫は嫌だよな。

あんまりかっこよくないし。


「それで、そっちのそれは何? 杖?」


杖?

…………ああ。

これのことか。

言われてみれば杖に見える。

というかどうしよう、杖にしか見えなくなってきた。

いや、これは棍だ。

打撃武器であって杖ではない!

あ、俺杖術あったわ。

あれも打撃だけど、使うのは杖だ。


「棍の筈だ。先端に金属塊を付けることで打撃力を上げている。なんかもう杖に見えなくなってきたけど。」

「ふーん。で、それも肥やし?」

「うーん。最初はレイダさん用の打撃武器をと思ったんだけど、使う?」

「いえ、私は槍一本でいきたいと思っていますので。」

「でも、打撃武器はあったほうがいいと思うんだけど。魔物によっては刃物よりも打撃の方が効くということもあると思うんだけど。」

「その時は石突きでなんとかします。」


……………………その手があったね〜。

こんなの全然いらなかったじゃないか。

こいつも肥やしか。

折角名前もつけたのに……残念だ。

次はみんなが使いたいと思うようなかっこいい奴を作ってみせる。

最悪、青龍偃月刀や方天戟を作ろう。

三◯無双の方は見たことあったけど、恋◯無双の方はなかったと思うからそっちを真似れば……いや、それはそれで問題があるな。

出来るだけ自分で頑張ろう。

あくまでもそれは最終手段だ。


夕食を終え、風呂に入ってのんびりと、と思っていたが、そうはいかなかった。

何故なら、リリン達がシスター服でスタンバッていたから。

ぐぬぅ……そう来たか。

今夜も長くなりそうだな。

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