第723話 楽しみにしながら帰ろう。的なお話

変なものだったけど、それでも作るのに熱中してしまい気づけば3時になっていた。

またお昼を食べ忘れてたよ……。

夕飯もあるし、ストレージ内の物を適当に軽く食うか。

えーと、ケルパと串焼きでいいか。

飲み物はお茶で。


遅すぎたお昼を食べ終わったら再び製作に戻る。

といっても、もう3時半近くだし作れるのはあと1つくらいか。

となると、何を作ろう……。

打撃系武器というのは変わらないけど、アホな仕様は減らして使いやすさを重視しよう。

で、誰用に作るかだが……、まあ、シアはまほうもよく使うし、ルナはそもそも魔法がメインだ。

ならばこの2人は後回しでいいか。

ユキノは確か投げ分銅とかあったし、蒼井の奴は後衛だから……ルリエかレイダさんのどちらかってとこか。

うーむ……レイダさん、かな。

あの人、普通に突撃しそうだし早めに用意しておいた方がいいかも。

ルリエなら魔法で対処しようとするだろうはずだ。


次に考えるべきは形状。

武器の種類といってもいいが、それを考えておかないとまたさっきみたいなアホな武器が誕生してしまう。

レイダさんは槍を使うからそれに似た形状の方が動きに差が出にくくていいだろう。

つまり、長柄の先にメイスのような鈍器が付いている感じかな。

鈍器部分は五角柱で先端が細くなってる感じでどうだろうか?

先が重いと扱うのが大変だろうから少しでも軽減出来るかもだし、細くしてみよう。


イメージしてみた。

………なんか、地味。

スポチャンの武器みたいで凄く地味。

なんかこう、装飾とか欲しいな。

青龍偃月刀のような龍の装飾みたいな、さ。

でも、龍は合わないよな。

口をあんぐり開けている龍の装飾……うん。

間違いなく変だ。

となると、何がいいかな?

龍じゃないなら虎?

それともレイダさんにちなんでトカゲ?

うーむ。

どれもしっくりこないな。

やっぱり太いのがネックだな。

かといって細くしたら打撃力が下がるし見栄えも悪い。

いやまあ、現状でも見栄えはあまり良くないからそこまで問題があるというわけじゃないけどさ。


いっそのこと鈍器部分を龍の頭にするというのはどうだろうか?

下顎と上顎、それに顔の形状で五角形になりそうだ。

だが、ちゃんと龍の頭を模すことが出来るのだろうか?

結構複雑だし俺にそんな技量があるのか……ま、やってみればいいか。

別にこんなのを作るためにグラハム武具店に行きますなんて、言ってきたわけじゃないし。


まずは五角柱の作製からだな。

そこからアリシアさんに貰った鍛治道具にある装飾加工用のコテとかヘラで細工をしていくって事で。



四苦八苦しつつもなんとか龍頭にはなったけど……頭だけだとどっちみちかっこ悪いな。

となると胴体の方も作った方がいいか。


そして、なんとかかんとか、見れる程度には作れたと思う。

使えるかどうかは実際に試してみないことにはなんとも言えないな。

特にこの翼のところとか。

見た目を気にしたからそのぶん付け根のところが細いんだよなぁ。

こんな所に硬いものが当たったらポッキリといっちゃいそうだ。

まあ、打撃力にはなんの意味もない場所だから無くなっても武器としては困らないんだが、見た目がな。


今日はこれくらいにしておくか。

時間もすでに7時近くになってるし。

でも最後に名前をつけておこうか。

ハンマーの方は伸びるから『剛伸槌』でいいかな。

安直だけど。

巨大ヤスリの方は『フレグランス』。

意味は香りとかじゃなくて凶悪な、悪名高いとかそんな感じのちょいアレな方。

ス◯ット・ダンスでやってたけど、こいつにはまさにぴったりだと思う。

肉も川も削ぎ落とす形状は凶悪そのものだし。

で、最後にこいつ。

こいつは粉砕棍『轟竜』ってとこかな。

粉砕と言いつつ逆に翼がポッキリといかないといいけど。


さて、それじゃ全部しまって帰るとしますか。

セフィア達がどんな服を買ったのか、楽しみにしながら宿に帰ろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る