第722話 ストレージの肥やし確定だな。的なお話
今日からまたしばらく訓練なしの日々だ。
この機会に色々としようと思うけど、その前にまずはみんなに話をしないとな。
「今日から訓練なしだけど、みんなはどうする? 俺は今日は鍛治をやりたいと思ってる。で、その後は適当に依頼を見繕って受けたいなと。」
「僕は……そうだなぁ。服でも見ようかなって思ってるよ。レント、あんまり頓着しないんだもん。僕達が見繕ってあげないとね。」
「うっ! い、いや、自分で選ぶのは、あんまりセンスがいいのを選べる自信がないし、なら選ばないほうがいいかなって……。」
「めんどいだけでしょ……。それ、私も行っていい? 新しい服欲しいし。」
「うん。ユウキちゃんも一緒に行こ。リリンは?」
「ん。行く。」
「私も一緒にいい? この前のデートではあまりそれっぽい服無かったから、次の時のために用意しておきたいし。」
「いいよ。行こ。」
で、最終的には俺以外のみんなが服を買いに行くことになった。
シアとルナ、レイダさんなんかは行く気がなかったんだけど、もっとかわいい格好をしなよとセフィア達が強引に誘い、シアがユキノを巻き込み、結果的に全員となった。
まあ、確かにシアは俺と似た感じで、服は動きやすさ重視というか、あまりこだわってないからね。
かわいい格好なんてデートした時くらいしかしてなかったんじゃないか?
折角かわいいんだし、この機会におしゃれな服を買ってきて欲しいものだ。
「それじゃ、俺はこっちだから。」
「うん。また後でね。」
セフィア達と別れ、俺は久しぶりにグラハム武具店に。
「こんにちはー。」
「ん? おお、レントか。今日はどうした?」
「最近武器作ってなかったから、腕なまってんじゃないかなって思いまして。」
「それで、何か作りに来たと。」
「はい。」
「そうか。まあ、うちは構わないし、施設は自由に使ってくれ。」
「ありがとうございます。」
さて、何を作ろうかね?
刀は……刀術がないから作ってもなぁ……。
いつかは身につけてやるけど、それだってこれまでに作った刀で十分だしな。
となると、何がいいかな?
片手剣……槍……短剣……双剣……短刀……うーむ。
みんなの武器はなぁ……。
アリシアさんのが凄すぎで何を作ってもストレージの肥やしになりそうだし。
そういえば、シア達の打撃系武器って無かったよな。
訓練でサンドゴーレムを相手にしてるし、今後はサンドがロックになったりするかもしれないし、その時用に何か打撃系武器を用意しておいたほうがいいかな。
使うかは分からないが、まあ、勘を取り戻すという意味も兼ねてやって見ますか。
◇
なんでこうなったんだろう?
最初は普通にメイスとかハンマーとかを作ってみた。
だが、それだとただの金属の塊だからと、つまらなくなってしまい……気づけば色々と手を加えてしまっていて……。
「で、こうなったと。」
「……はい。」
俺が変なものを作っていたから気になって見に来たグラハムさん。
そのグラハムさんが今手に持っているのはメイス。
ただし、普通のメイスとは違い、表面に細かい突起がびっしりとついている。
これで殴られると突起によって皮がこ削ぎ取られる……まあ、要するに巨大ヤスリになってしまっていた。
もう一つのハンマーの方だが、柄部の所が蛇腹のようになっていて良くしなる。
更にヘッドの近くの柄部はバネのようになっていて伸びる。
最初は威力を上げれないかと色々やって、鞭のようにしなりがある方が威力が上がるかなとか、長い方がテコの原理で少ない力で大きな力が発揮できないかなとか考えて、結果、伸びてしなる、非常に使いづらい物になってしまった。
「色々試すのはいいんだが……せめて使いやすいかどうかを考えてから作れよな。」
「はい。そうですよね。」
巨大ヤスリの方は普通の魔物だと皮がダメになってしまうので完全にゴーレム専用だ。
ハンマーの方もハンマーヘッドを当てるのが非常に難しく、どう考えても初心者に渡すシロモノじゃない。
こりゃ、ストレージの肥やし確定だな。
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