第721話 色々楽しんでから眠りについた。的なお話

「それじゃ、寄り道しないで帰るように。」

「俺達は子供ですか……? って、アデラードさんは来ないんですか?」

「うん。今はいろいろと忙しいからね。領軍と今度の狩猟大会について会議とかしないといけないし、太守の方にも話をしてないといけない。他にも以前の狩猟大会の際に武具を取り扱う店にかなり迷惑をかけちゃったから事前に話をしておく必要もある。ポーションとかを扱う店には客が殺到するだろうからその前にある程度品数を揃えるように言わないといけないし。他にもまだあるし通常の業務もこなさないといけないから。」

「えーと、お疲れ様です。あの、俺達の訓練なんてしている暇なんてあるんですか? すごく大変そうに聞こえるんですけど。」


俺ならそんな仕事量をこなせなんて言われた時点で絶対逃げるよ。

というか、サボりたい気持ちは理解できた。

そんだけの仕事が控えていたら仕方ないよ。


「実はちょっと厳しいんだよね。これから更に忙しくなるから。でも、レント達のことも大事だからさ。」

「それは俺にとってもそうですよ。アデラードさんは大事です。だからこそ、自分達のせいで大変な目に合うなんて嫌ですよ。俺達は適当に模擬戦とか依頼とか受けてますから、あまり無茶はしないでください。」

「そうね。アデル義姉さんは普段の言動のせいで分かりづらいんだから、こういう時くらい頼ってよね。」

「なんならレントに甘えてもいいですよ?」

「あはは……それは魅力的だけど、また今度ね。じゃあ、みんなには悪いんだけど、またしばらく訓練は休みにさせてね。」

「はい、分かりました。」


ぽっかりと時間が空いてしまったが、丁度いいしこの機会にがっつりと稼いでおこう。

まだ余裕があるけど、なんていうか、ここ最近はあまり仕事をしているって気がしないんだよね。

基本訓練だし。

ダンジョンに潜っても雑魚相手な上に仲間が優秀で働いている感がない。

この前護衛の仕事もあったけど、それも大したことがなくてカンナさんを買おうとしたという印象しかない。

今のままだと無職感が……。

だからここらで稼いで働いていると実感したい。

後は、アクセとか武器とか作りたい。

ここ最近やれてなかったから腕が鈍ってる気もしてる。

こうしてあげてみれば、やりたい事もいっぱいあるな。

よし、明日から色々やろう。


宿に帰る道中、アイリスさんと合流した。

丁度いいのでまた今度狩猟大会が行われるという話をした。


「うへー、こりゃまた大変なことになりそうっすね。」

「そうですね。まあ、今回はDランクだけですから前ほど大変じゃないと思いますよ。」

「そうだといいんっすけどね〜。」

「稼ぎ時だと考えておきましょうよ。」

「そうっすね。と、そういえば、あれがやっと全部終わったんすよ。」

「あれ?」

「はいっす。前に森の調査をするきっかけになったレックスが居たっすよね?」

「ああ。って事は、全部捌ききったと?」

「はいっす。お陰でプラス1500万の利益が出たっすよ。」

「ほー。って事は一気にお金持ちになったって事か。」

「だから今はそこまでお金に困ってないっすから、稼ごうとはあんまり思ってないっすね。」

「そうなんだ。でも、仕事の依頼は普通に来るんじゃないか?」

「その時は普通に受けるっすよ。ここで断ったら客が離れていっちゃうっすから。」

「そうだろうなぁ。」


一時的に儲けたからって仕事をないがしろにしたら客は離れる。

信頼を失ったから。

いい仕事をする。

ちゃんと仕事をする。

そういった評価を積み重ねていかなければ成り立たないのが客商売、か。


「とはいえ、これでようやく貧乏生活からおさらば出来たって事だよね? 良かったじゃん。」

「はいっす!」


宿に帰り、風呂でさっぱりして夕飯へ。

リナさんは来なかったけど、おそらくアデラードさんと同じ理由だろう。

狩猟大会やなんやらで忙しいのだと思う。


そして部屋に戻り、アニメを見たり、本を読んだりと色々楽しんでから眠りについた。

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