第675話 凄い嬉しいんだけど! 的なお話
〜アカネ視点〜
「それで、レントは何かデートプランとか考えてたりするのかな?」
「ふえっ!? い、いや、アデラードさんが言ってたことが気になって、そればっかり考えて何も考えてなかった。」
レントってば顔真っ赤。
少なくとも、胸を当てるのは当たりらしいわね。
そこはやっぱり男の子ということなんでしょうけど、私でも喜んでくれるのは良かった。
普段からいろんな胸を触ってるでしょうから少し心配だったけど。
「それなら、私が行きたいところでいいかな?」
「お、おう。それでいいぞ。」
というか、気にし過ぎでしょ。
レントって実は単純?
このまま色仕掛けで……と思わなくもないけど、さすがにこれ以上は恥ずかしすぎるし、そういうことはちゃんと恋人になってから。
「それじゃ、行きましょ。」
「ああ。」
最初に向かったのは服屋。
男の子は女の子の買い物に付き合うのはあまり好きではないという話は聞くけど、今回はそういう買い物とはちょっと違う。
ちゃんと目的がある。
「すみません。私に似合いそうな服一式を5種類くらい選んでもらえませんか? 出来ればタイプが違うもので。」
「え、ええ。かしこまりました。」
着いた服屋で店員さんにいきなりそんなことを言うものだから戸惑ってたけど、すぐに了承してくれた。
私を見て、いくつか思いついたようで、服を選びに行ってくれた。
そして私はというと、私は私でいくつか服を選ぶ。
それも、普段着るような服とは全く系統が違うものを。
私が選んだものと、店員さんが選んでくれたものを持って試着室へ。
その間僅か15分。
細かい吟味なんてしていない。
だからそれだけ早くなっている。
あんまりレントを待たせるべきではないからね。
「まずはこれだけど、どうかな?」
「いいんじゃないか。」
「ありがと。これから色々着るから、ちゃんと見ててよ。あ、それと無理に感想なんて言わなくていいからね。ただ単に、私がレントに、いろんな姿の私を見て欲しいだけだから。」
そう。
別に感想を言って欲しいわけじゃない。
いろんな私を見て、少しでも異性として意識して欲しい。
それが、この店での目的。
私という人間を、これまでの姿も、今までにない姿も見てもらってもらいたかった。
それだけ。
ワンピースタイプ。
深窓の令嬢といった感じの清楚なワンピース。
ちょっと露出が高いもの。
クール系なもの。
ビシッと決めた出来る女系のもの。
フリルたっぷりのかわいい系のもの。
他にも色々と見てもらった。
フリルのとかはちょっと無理があるんじゃないかなとも思ったけど、それはそれでアリだったらしく、レントも褒めてくれた。
その中で1番反応が良かったワンピースタイプの物を着て行くことにする。
ちなみに、試着したものは全部買った。
値段はフリルのが1番高かった。
他の奴の平均値の3倍くらいしてて本当に高かった。
日本みたいに機械化してないせいだと思うけど、これ、着る機会あるのかしら?
タンスの肥やしにならないことを祈ろう。
次はウィンドウショッピング。
今の私に似合うアクセサリーをレントと一緒に選んでいく。
似合うかなと首元や髪、耳などに当てて見てもらうことになるので自然と私のことを見ることになるからね。
少しでも、見てもらわないと。
そしてそろそろお昼にしようという時になって、面倒な人達が現れる。
ナンパだ。
「おお、かわいいじゃん。何、デート? でもさ、そんなヒョロイ奴よりも俺達の方がいい思いさせてやるぜ?」
「そーそー。俺達これでもブロンズだぜ? 結構稼いでるしこんな安っぽい店じゃなくてもっといいもん買ってやるからよ。」
「そのお礼として一晩付き合ってくれるだけでいいからさ。」
はぁ……。
なんでこういう時に限ってこんなのが出てくるのよ。
めんどくさい。
大体、ブロンズって言ってもCランク相当でしょ?
なら私たちの方が絶対稼いでいる。
それに、こういうのはこうして見て回るのが楽しいのであって、高ければいいってわけじゃない。
ナンパの仕方自体悪い。
どうしてそれで付いていこうって人がいると思うのか不思議でならないわね。
「ちょっと今デート中なんで、邪魔しないでもらえますか? それと、臭いんであんまり近づかないでくれませんか? 彼女に匂いが移っちゃうんで。」
「んだと、このガキ。女の前だからってカッコつけっと痛い目見るぜ?」
今彼女って言った!
レント今彼女って言ったよね!?
どうしよう!?
凄い嬉しいんだけど!
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