第664話 いい人が見つかることを祈ろう。的なお話
〜アカネ視点〜
「デートをしよう!」
「……はい?」
帰ってきたレントは突然そんなことを言い出した。
え?
ちょっと意味わかんないんだけど?
これって、私の告白を受け入れてくれるってことでいいのかな……んなわけないか。
レントならきっと、デート云々よりも先に告白の返事を言ってくれると思う。
でもそうじゃないから、これはそういうのじゃないと思う。
「それ、どういう意図があっての発言なのかな?」
「いや、えっと、まだ好きなのかどうか分からないんだけど、デートすれば何か分かるんじゃないかと思って、さ。ちょっと馬鹿の話を聞いて、そう思ったんだ。」
「ふーん。好きでもない相手とデートねぇ〜。それ、私に失礼なことだと分かってるよね?」
「うっ! いや、それは分かっているんだが……。」
「ふふっ……冗談よ。いいわ。その話受けてあげる。でも1つだけ条件があるわ。」
「なんだ?」
「私のことを受け入れたらもう一度、今度は恋人としてデートしなさい。」
「わ、分かった。約束する。」
「絶対よ。」
「ああ。」
よし!
これでデート2回分ゲット!
それに、レント自身気づいているかどうか知らないけど、受け入れないという可能性があるのに、普通に約束してくれてる。
これって、無意識のうちに、恋人になるって分かってるってことじゃないかな。
そう考えると、嬉しくなってくるわね。
「ところでレント、お昼はどうしたの?」
「え、あっ! そういえば、ぼーっと考えてたら忘れてた!」
「ふふっ。もう、しょうがないなぁ。はいこれ。そう言うんじゃないかなって思ってサンドウィッチ作っといたよ。」
「サンキュー、セフィア。」
さらに朗報!
私とのことを考えてお昼を忘れてた!
それって、それだけ真剣に考えてくれていたってことよね。
すごく嬉しい。
「んぐんぐ。」
「お兄さん、クルトさんのお話ってどんなのでした?」
「ん? まあ、なんてことないんだけど、いかにしてマリナが自分を女として意識させたかって話だな。ほら、それまでただの男の仲間としか思ってない相手からの告白だろ。だから、想定外の告白に対しての参考になるかと思ってな。」
「想定外……ね。確かにそんな素振り見せなかったけど、意識されてなかったのは悲しいわね。」
「い、いや、意識してなかったというわけじゃ………………ごめん。本当はきっと誰か好きな人できてその人と付き合うんだと思ってた。」
「そう言われるとちょっと心にクるわね。……もう少し早く言うべきだったかしら。」
まあ、今はしっかりと意識してもらってるし、それで満足しましょう。
「それでデートのことなんだけど、日時は明日以外にしてくれないかな? 多分お父さんがまたやって来ると思うから、そんな時間ないと思う。」
「あー、あの様子ならありそうだな。」
本当に、好かれるのは嬉しいのだけど、行きすぎるのはどうかと思う。
もう少し適度に落ち着いてくれないものかな。
ーーコンコン
「アカネ様、クーデルです。少々よろしいでしょうか。」
「へ、クーデル? ちょっと待ってて。」
「家の護衛の人なんだけど、開けていいよね?」
「ああ。多分どこに宿泊するかと言う話だろうしな。」
「私もそう思うわ。」
というわけで、出迎えると案の定。
お母さん達が泊まるのはこのリステルでも結構いいお値段のする宿。
貴族が泊まる宿としても申し分ないところらしい。
私達はずっとレイランで泊まってるから分からないけど、サービスなんかも充実しているとのこと。
お母さん達は1週間ほど滞在する予定らしい。
「知らせてくれてありがと、クーデル。」
「いえ、私はユースティアの家に仕える身ですかから。あ、それとアカネ様、旦那様はどうするか知りませんが、私は応援させてもらいますね。」
「ありがと。でも、クーデルも早くいい人見つけなさいよ。」
「うぐっ! 私も早く見つけたいんですけどね……この仕事してると休みが不定期なので、そもそも出会い自体があんまり無いですし、同僚は同僚で私のことを女扱いしませんし。」
「あー、まあ、頑張って。」
「はい。では、私はこれで。」
「またね。」
クーデルって、確か今22じゃなかったっけ?
……クーデルにいい人が見つかることを祈ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます