第665話 アデラードさんに怒られる! 的なお話

〜アカネ視点〜


クーデルが去った後は本当にのんびりとした時間を過ごせた。

レントが来るまでの間は色々と聞かれたり聞かされたりしたからね。

本当に……あれはキツかった。

物凄い羞恥心に襲われたわ。

当分はないといいな……。


「と、もうこんな時間か。んじゃ、夕飯にするか。」

「そうだね。」

「ん。」


読んでいた本がいいところなんだけど、仕方ないわね。

勇者一行がなんとも転生者臭い店主の料理店で美味くないと言っているところで、すごく続きがきになるんだけどね。

とりあえず栞を挟んで、と。

それにしても、転生者、ね。

この世界ではそんなことはないと思うけど、ちょっと不安になって来るわね。

私も記憶を持って転生しているわけだし。

でもま、実際に神様がいる以上はああいう事にはならないでしょ。

それよりも、振る舞い方に気をつけた方がいいわね。

あんな、俺TUEEEな感じは恥ずかしいし。


夕食を終えてお風呂でさっぱりする。

ふぅ〜。

やっぱりお風呂はいいわね〜。

日本人の血が風呂を愛せよと囁くのよね。

今私日本人の血流れてないけど。


「いい湯だな。いい湯だな〜。湯気が天井からポタリと背中に♪ ってね。」

「その歌何?」

「な、なんでもない!」


つい気分良くなって歌っちゃったわ!

今ここには私以外にセフィアとルリエが居るのに。

2人と交代で今日はシアとルナ、それとリリンがレントと一緒に入るそう。


お風呂から出たところでレント達にお風呂が空いたことを伝える。

そしてあとは部屋でのんびりして寝るだけなんだけど……。


「ねぇ、アカネちゃん。今夜一緒にどうかな?」

「はいぃ!?」


一緒にって、アレよね!?

どう考えてもアレよね!?


「いやいやいやいやいやいや! まだ早いから! そういうのはちゃんと恋人になってからだから!」

「そっかぁ〜。残念。でも、混ざりたくなったら言ってね。」

「……気が向いたらね。」


本当にレントの嫁さん達はどうしてこうなんだろう?

確かにこの世界の女の人はハーレムに対して肯定的というか、自然なものとして考えているけど……ここまでのはそうそういないはずなんだけどなぁ。

私はまあ、一応貴族だったし、そういうものだと理解してるけどさ。

お父さんも、あれで妾の人もいたし。

メイドしてたユーリンもそうだし。


セフィアの誘いを断り、部屋で本の続きを読んでから眠る。

今この時も、レントはしちゃってるのよね?

…………………。

馬鹿な考えはやめて、さっさと寝よ!


「おやすみ!」



朝起きて、食堂に向かうと何故かアイリスがいた。

いつの間に混ざってたのかしら?

不思議なこともあるものね。


そうして朝食を食べていると、やはりというかなんというか……お父さん達が馬車に乗ってやってきた。

護りという観点から見て徒歩よりか馬車の方が安全で早く着くというのは理解できるけど、こんな朝早くから来なくてもいいでしょ!

全く……近所迷惑じゃない。


「さあ、昨日の続きだ! レントと言ったな。貴様に決闘を申し込む! 流石に私自身が出るのはマズイというか、嫁が怖いというか……こほん。とにかく、そういうわけだから、私の代わりに護衛のディーノが出る。返答はいかに!」

「受けて立ちましょう!」

「お馬鹿! なんで受けるのよ! こんな決闘、百害あって一利なしでしょうが! なんのメリットもないのよ! 今すぐ断って!」

「まだ俺がアカネのことをどう思っているのか、いまいち掴めてないが、それでも、仲間が連れて行かれるかもしれないのに、黙っていられるわけがないだろ。」

「何言ってるのよ! そんなの受けなきゃいいだけでしょうが!」


その気持ちは嬉しくあるんだけど、でもなんのメリットもない決闘で怪我でもしたらどうするのよ!

それにこのままだと訓練に間に合わない。

どうしよう。

アデラードさんに怒られる!

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