第662話 この恋、絶対に叶うわね。的なお話
〜アカネ視点〜
「悪いな……。あー、俺、ちょっと考えたいから、その辺歩いて来る。」
「分かった。あ、お昼はどうするの? 」
「その辺で適当に食うからみんなも好きなようにしてくれ。じゃあ、俺は行くから。」
「いってらっしゃい。」
そう言ってレントはフラフラっとレイランから出て行った。
「ねえねえ、いつからだったの?」
「気になる。」
レントが出て行ってすぐにセフィア達が詰め寄ってきた。
まあ、この子達ならこうなるよね。
「ちょっと待って。落ち着いて。まだお昼を食べていないし、話はそれからにしよ。ね。」
「それもそうだね。」
あー。
どうしよ。
ちょっとだけ先延ばしにできたけど、逃げられないよねー。
怖いなー。
どこまで聞かれることになるんだろう?
何回かこっそり夜に覗いていたこととかバレないよね?
いや、大丈夫。
本当に数回だけだし。
お昼を食べ終わり、部屋に戻ると我慢できないと言わんばかりの顔をしたセフィア達が詰め寄って来る。
早速か。
「それで、いつから意識してたの?」
「え、えーと……分かんない、かな。ただ、前に元ジェイル家兵士の盗賊と遭遇したことあったでしょ。その時に私をかばって怪我をしたのを見て、失ってたらと思ったらすごく怖かったから……多分その時にはもう、好きだったんだと思う。」
今私、顔が赤いと思う。
それを見てセフィア達がニマニマとした顔をするもんだから余計に赤くなる。
くぅ……まさか、人生でこんな日が来るなんて。
もうちょっと普通の恋愛をすると思っていたのになぁ……。
「それで、えっちはいつする?」
「ブッ!? にゃ、にゃにゃにゃ、にゃにをいっひぇるにょよ!?」
いきなり何を!?
おかげで呂律が全然回らなかったじゃないの!?
前からこんな子だとは分かっていたけど、突然過ぎるでしょ!?
「重要なこと。それに、アカネも興味あるでしょ?」
「ッ!?」
「偶に覗いている。」
何故バレたし!?
「気配察知。みんなの気配は記憶済み。」
忘れてた!
この子そんなもの持ってたんだった!
そんなこの前で覗きとか……絶対バレるに決まってるじゃない。
……恥ずかしい。
「あなた、そんなことしてたの?」
「だって……前世では丁度そういうのが気になる年頃の時に死んじゃって、そらから十数年間ずっと生殺しだったんだもん。そりゃ気になるよ。」
「あー、そう言われると……。」
そんな状態ですぐ近くで知り合いがそういうことしてたら気になるのも仕方ないというもので……最初は出来心だったけど、一度見ちゃうとついつい、気になっちゃって。
「ま、そういうことは後でいいでしょ。それよりも私は大してショックを受けてないのが気になるんだけど、どうして?」
「えーと、レントってさ、結局のところ、きっぱり断ろうとこっちが諦めなければ、この恋は終わらないじゃない。それで熱心にアプローチすれば絆されると思うのよね。」
「確かに……前例しかないからね。」
「だから、振られるのは想定内だから、あんまりショックを受けなかったのよね。むしろここからだって感じかな。」
「そう。まあ、知らない仲じゃないし、手伝わさせてもらうわね。」
「ありがと、シア。みんなも、どうせ何も言わなくても増やそうって言うんでしょ。」
「もちろんだよ。いつも言ってるけど…「後から好きになったからって諦めなければいけないなんて可哀想だよ。でしょ。」……うん。それに、アカネなら大歓迎だよ。ずっとこうなったらいいなって思ってたしね。」
「そう……ありがとね。」
強力なバックアップを得たし、この恋、絶対に叶うわね。
〜その頃のレント〜
「どうすっかなぁ〜。」
広場のベンチに座って黄昏ていた。
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