第642話 だって可愛かったんだもん。的なお話

トンテンカンとひたすらに鍛治!

ダンジョンで軽く手入れはしていたけど、それなりに使ったからな。

ちゃんとやらないと。


そういえば、普通の武器は結構簡単に劣化するという話を聞いたことある。

金属と打ち合ったり、硬い骨を断ち切ったりする為に劣化してしまうという話だ。

まあ、なんとなく思い出したという話だが、俺はそれを実感した覚えはない。

最初っから女神謹製の剣ばかり使ってたから。

チートではないけど、いや、本来の意味ではチートだけど、随分と助けられていたんだなと改めて実感する。


今度何かプレゼントでもした方がいいんだろうか。

いや、しよう。

むしろしなくては。

今までめっっっっっちゃお世話になっているんだしさ。

というわけで、武器の整備も終わったことだし何か贈り物を作ろう。


何がいいかな〜。

やっぱり指輪かな。

それでモチーフはどうしよう。

アリシアさん……金髪、神様、巨乳……金髪……太陽? それとも晴れ?

うーん。

アリシア……雨宿り……ホームラン……マイク……お姉ちゃん……はっ!

いやいや、この思考はまずい!

そもそも、アリシア違いだし!

……ま、無難でいいか。

天使の羽根に、十字架、そんで十字架の中央にルビー。

あー、もうルビーの在庫が残りわずかになったな。

まあ、初心者ダンジョンで手に入れたルビーの原石だし、それ以降手に入れてないし仕方ないか。


最後にリング部分にも模様を刻んで、と。

ふぅ、出来た。

さて、問題は…………サイズがわからないことだよな。

生憎俺は自動サイズ調整なんて機能を組み込むことなんてできない。

まあ、なるようになるか。


指輪作りも終わったのでお暇させてもらおうと思ったところである人が目に入る。

そういえば、トニーさんのプロポーズってどうなったんだっけ?

なので本人にちょっと聞いてみたところ、無事にプロポーズは成功。

ただし、やっぱり恥ずかしくてプロポーズしたのは2週間前というヘタレさんだった。

そして現在は新居を建設中だそうだ。


「それはおめでとうございます。」

「ありがとう。レントのおかげだよ。」

「それなら教えた甲斐はあった。あったんだが…………どんだけヘタレてんだよ。」

「うぐっ! だ、だって、恥ずかしいし、振られたらって思ったら怖くて……。」

「はぁ……。まあ、無事に受けてもらえたのは良かったですね。」

「そうなんだよ! あの時も彼女はさ、前から勘づいていてずっと待っていたって言ってくれてさ。その時の嬉しさと言ったらもう……天にも登るかと思ったよ!」


おっと。

これ以上長居すると惚気られる。

そろそろお暇しよう。


「そうですか。あ、俺はもう用事は終わったんで帰りますね。」

「そうか。さっきも言ったけど、俺が結婚できるのもお前のおかげだ。本当にありがとうな。」

「いえ。では俺はこれで。」


ふぅ。

無事にプロポーズできて何よりだ。

結果も最上だしな。

次はアイリスさんの店に行こう。

アレが出来ているはずだから。


「アイリスさん居るー?」

「あ、レントさん。いいところに来たっす! ちょうど出来上がったところっすよ!」

「本当!?」

「もちろんっす! 早速着てみるっすか?」

「ああ。」


手渡された防具をウキウキと着込んでいく。

そうえば前にカインで見たレックスの防具は赤っぽかったな。

それに対してこいつは黄色っぽい。

正確には黄色に近いオレンジだが。

あの時のレックス防具はシアが見たという黄昏さん達が倒したタイラントフレアレックスの物だとするなら、ひょっとしたらレックス種は属性によって色が変わるのかも。

俺達が倒したのはタイラントグランドレックスだし。


「入るっすよー。」

「どうぞー。」

「おおー。カッコいいっす! レントさんに似合うようにと頑張って良かったっす!」

「そうか。ありがとな。それでセフィア達の分は?」

「ここにあるっすよ。」

「じゃあ、そろそろ行こうか。」

「はいっす!」


宿に帰り、セフィア達新規の防具を望んだ面々に渡してお披露目をしてもらう。

どうやらアイリスさんは着る人に合わせて防具を染色して、色のバランスを取っていて、一言で言ってすごい似合っている。

具体的には嫁でないアカネと蒼井が赤面するくらい褒めてしまうレベルで。

でもそれも仕方ないことです。

だって可愛かったんだもん。

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