第643話 まずはいつも通り身体強化かな。的なお話

今日はどうしようかな。

昨日は防具を手に入れたんだが、明日は護衛の仕事だしなぁ。

さすがにダンジョンというわけにもいかないし。

とりあえず、防具を馴染ませておこうかな。

新しい服とかも最初は窮屈に感じたりすることもあるし、そういうのに慣れておいたほうがいいと思う。


というわけで着ている。


「なんで防具着てるの? もしかして訓練でもするの?」

「それもいいかもなぁ。明日は護衛の仕事だし、その前に軽く体を動かしておくのはアリかも。」


むしろそれの方がいいんじゃないか。

どうせやることなんて無かったし、ただ宿でのんびりするくらいしか浮かばなかっただろうし。

いや、それはそれでアリだが、今日は明日のために軽く訓練でもした方がいいだろう。


「よし。今日は軽く訓練をするか。」

「えーー!!」

「いや、別に強制じゃないから。嫌なら来なくていいぞ。今日は休みだからな。俺は明日の為に体を動かすけど。」


蒼井が駄々をこねる。

まあ、これは分かりきっていたことだ。

でも強制をする気は無いから参加したく無いなら宿でゴロゴロしてていい。

突発的なことだしね。


「まあ、そういうわけなんで俺はギルドの訓練場に行くよ。みんなは好きにしてていいよ。」


そうは言うものの、半分くらいはついて着てくれるんじゃないかなって思ってる。

なんだかんだでみんな真面目だから。

あ、蒼井は除く。


ギルドには結局、俺、セフィア、リリン、アカネ、レイダさん、ユキノが来ている。

ルリエはレイちゃんとお菓子を作るという約束を昨日していたらしい。

何故お菓子? と思わなくもないが、仲よくて何よりです。

シアは矢を追加購入し、ルナもその付き添い。

ついでに耐毒の効果のあるアクセサリーとかを見たいそうだ。

なるほどと思わされたよ。

蒼井はただ単に休みたいだけみたい。


「あれ? 今日はどうしたの?」

「明日の為にちょっと体を動かしておこうと思いまして。」

「そっか。ありがとね。でもあんまり無理はしないでよ。」

「分かってますよ。」


丁度アデラードさんがおり声をかけられたので返答する。

そういえば、あの金剛の〜って人達はどうなったのかな?

ひと騒動あると思ってたのに何もないまま今日まで来てしまったからな。

ちょっと聞いてみよう。


「そういえば、金剛の繋ぎ手ってどうなったんですか? 絶対ひと騒動あると思ってましたし、堅牢のカルロとかともそう話してたんですよ。」

「ああ。それなら一昨日来たよ。だから正論でけちょんけちょんに伸しといたから。」

「け、けちょんけちょん……。」

「うん。大体さ、ここ何回か続けてやっていたからって、次も指名されるって勝手に決めつけて私になんの連絡もなしにダンジョンに長期間潜って、その上でギリギリに帰って来てるんだよ。誰かが欠けるかもしれないのに事前連絡もなしで、それで図々しくも自分達の依頼だって文句言いに来てるんだもん。そりゃそうするに決まってるじゃない。」


事前連絡してなかったんかい!

多分、探索予定表を提出したから知ってるだろうと高を括ったんだろうな。

それに連続で護衛をしていたという地位に胡座をかいていた、と。

うん。

同情の余地ないな。


面倒ごとはいつの間にか解決……というか、起こる前に終わっていてよかった。

これでなんの気兼ねもなく護衛の任務につける。


「それじゃ、アデラードさん。俺達は訓練場に行きますね。」

「うん。私も今日はずっとギルドにいるから何かあったら気軽に言ってね。」

「分かりました。では、失礼します。」


さーて。

後顧の憂いも無くなったし、張り切って訓練するぞー。

まずはいつも通り身体強化かな。

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