第607話 抵抗は無意味だった。的なお話

朝起きるとそこにアリシアさんがいるということもなく、普通の朝だ。

更に1人増えてベッドがいつも以上に手狭だけど普通の朝だ。

4人部屋よりも大きい部屋ってこの宿にあったかな?


まだ誰も起きてないしアニメでも見ようかな。

やっぱりまずはシ◯フォギア。

あの激アツアニメでテンション上げていこう。

第1話からいきなりの展開にさすがシ◯フォギアだな。

そんな風に見てるとみんなが音で目を覚ましたようだ。

しかし、その凄まじさにみんなも魅入ってしまい、気づけば1話が終わってしまっていた。

しかもこの後の展開が気になる終わり方なのが心憎い。


とはいえ、このままズルズルと見続けるわけにもいかないし、後ろ髪引かれるが朝食とする。

ついでに、みんなにはとりあえず1期から見ることを勧めておく。



「みんなおはよう。突然なんだけど、明日からダンジョンに行ってくれないかな?」


朝食を済ませてギルドに向かうと、アデラードさんからこんな事を言われた。

というか、本当に突然だな。

確かに昨日なんとか魔力障壁(腕のみ)をできるようになったよ。

みんなもそれっぽいのは出来るようになってるし、当初の予定通りではあるけど、それでも突然過ぎる。

それに、まだ展開までに時間が掛かり過ぎて実戦投入なんてとてもじゃないけどできっこないんだけど。


「突然で驚かせてると思うけど、ちょっと事情があってね。もうじき奴隷市があるんだけど、その時の私の護衛をお願いしたいんだ。」


…………………はい?

護衛?

アデラードさんの?

この街での最強たるアデラードさんに、護衛?

何言ってんの?


「……みんな何言ってる? って顔してるね。」


疑問に思ったのは俺だけじゃなかったみたいだ。


「この街では数ヶ月に一度、奴隷市をしているんだけど、そこに毎回招待されてるんだよね。冒険者も買ったりする事があるから無視するわけにもいかないから毎回行ってるんだ。それで、来賓として出向くから護衛は必要なんだけど、いつも頼んでいるクランはここ最近ずっとダンジョンに篭ってるんだよ。」

「つまり、そのクランの代わりにという事ですか?」

「個人的にはレントと一緒に居たいからずっとお願いしたいんだけど、体裁とかあるから、一応そういう事になるかな。」


そのクラン可哀想だな。

まあ、俺としては、そう言ってもらえるのは男冥利に尽きるから嬉しくはあるのだが。


「で、この護衛の事があるから今行かないともう暫くはダンジョンはお預けになるなって。それはちょっと可哀想だから言ったんだけど、どうする? 私としては訓練でも全然構わないんだけど。」


えーと。

これはなんて答えたらいいんだろうか?

ダンジョンには行きたいけど、魔力障壁の習熟度が甘いのが少し心配だ。


「行けるのなら是非!」


レイダさんはやっぱりそうだよね。

むしろそうじゃない方が心配になる。


「レントはどうする?」

「俺は……心配ではあるんですけど、行きたいって人がいるのなら、行きたい、かな。」

「そっか。それじゃ、行っていいよ。ただし、10階層までだからね。それならまだ罠もないからよっぽどのことがない限り大丈夫なはずだから。」

「ありがとうございます。」

「絶対、帰ってくるんだよ。」

「「「はい!」」」

「それじゃあ、今日の訓練は午前だけで、魔力障壁の強化を図るよ。」


気力は十分。

魔力障壁の訓練にはしっかりと集中して取り組むことができた。

とはいえ、そう簡単に強化出来るはずもなく展開速度の短縮はできなかったが、発動の感覚をしっかりと覚えて発動ミスを起こす事はなくなった。

まあ、実戦ではどうなるかわからないんだけどね。


その後、お昼を食べ終えたら準備に取り掛かる。

ここでもアデラードさんの助言のおかげで十分すぎるほどに準備を終えることができた。

後は明日になるのを待つばかり。

だからさ、そういうのは控えるべきだと思うんだよね。

あんまり疲れるのもよくないと思うんだよね、俺は。


抵抗は無意味だった。

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