第606話 お手柔らかにお願いします。的なお話
「やっちまったなぁ。」
「でもアデラードさんも許してくれたじゃない。それに、そう言えるレントはすごいと思うよ。終わった事だって言う人もいるかもだけど、そういう人よりもずっといいよ。だってそれは反省してるって事だもん。そうやって反省出来るレントのこと、かっこいいと思うな、僕は。」
「そうかなぁ。」
「そうだよ。」
「そうか。」
セフィアにかっこいいと言われた。
すごく嬉しい。
しかし、かっこいいか。
これからも、かっこいいと言ってくれるように、セフィア達が自慢できるように頑張りたいな。
そして宿に戻ると、そこにはアイリスさんがいた。
「あれ? ずっと居たの?」
「いや、一旦は帰ったっすけど……その……レントさんに会いたくなっちゃって……つい、来ちゃったっす……。」
何この娘。
すっごいかわいいんですけど!?
すごく単純かもしれないが、一度そういう事をしたせいか、より好きになってしまったようだ。
単純な仕草もかわいく思えてしまう。
「うわぁ……アイリスさんかわいいよ! レントもそう思うよね!」
「ああ。もちろんだ!」
「あぅ……な、何言ってるっすか……そんな、かわいいなんて……。」
照れているアイリスさんもかわいい。
「あ、アイリスさんは夕飯食べた?」
「い、いや、まだっす。一緒に食べたかったっすから……。」
アイリスさんまじかわいい。
アイかわ!
「じゃあ、一緒に食べようか。」
「はいっす!」
そうしてアイリスさんも一緒に夕食を食べていたら、レイちゃんの様子がおかしいことに気づく。
ふと目が合う事があっても、赤面されて目を逸らされる。
これはアレか?
ひょっとして、惚れられた?
…………などと自惚れるつもりはない。
昨夜、アイリスさんがあんな宣言があって、その上で一泊していたんだから、そういうアレがあったのは丸わかりで気まずいんだろうな。
これが原因でルリエと疎遠になったりしないよな?
い、いや、きっと大丈夫だ。
既にそういう事があったし、大丈夫なはずだ。
あ、また目が合った。
これで4回目だ。
…………大丈夫そうだな。
この短時間で4回も目が合うんだし嫌われているわけじゃないんだろう。
「レントさん。来ちゃいました。」
「リナさん? どうしたんで……まさか、リナさんも?」
「? 何のことですか?」
「いや、何でもない。それよりも、リナさんは夕食はどうしました?」
「まだですよ。むしろ、一緒に食べたいなと思って来ましたし。」
「そうですか。じゃあ、えーと、レイちゃん。リナさんに椅子持って来てくれない?」
「ひゃいっ! ……はい。分かりました。」
突然の事にびっくりしたっぽい。
ひゃいっ! って言ってたしね。
そしてレイちゃんが運んでくれた椅子に座ったリナさんも一緒に夕食を食べることに。
「それで、リナさん。今夜はリナさんも一緒にどうかな?」
「い、いいい一緒って、もしかして……。」
「夜伽。」
「いいい、いえいえ! そ、それはまだいいです!」
「どうして? いずれはするんだよね? この前夜這いしたってレントから聞いたし。」
「あ、あれはお酒が悪いんです! ……えと、どうせなら、デートして、雰囲気のいいお店でディナーを食べて、そのまま……というのがいいかなって、前々から夢見てまして……。」
「ふ〜ん。そっか〜。それじゃ、色々と決めないとね。」
「色々ですか?」
「そう。例えば、デートのプランとか、ディナーはどこで食べるかとか、宿はどこがいいかなっていうのとか。」
「じ、実は、前々から考えていたのがあってですね……。」
「ほうほう。」
嫁さん達が仲良く話してる。
その内容は初デートするのを応援する女友達みたいな感じだったが、次第とその方向性が過激な方に進んでいく。
具体的なのは避けるが、対面にいるアカネが真っ赤になるぐらいの内容。
というか、少しは加減してくれませんかね?
俺めっちゃ恥ずかしいんですけど!?
それに、ユキノも蒼井も赤くなってんじゃん!
って、おや?
アカネの様子が……?
恥ずかしいというか、照れているような、そんな顔なんだけど、どことなく興味があるような雰囲気だ。
まあ、前世今世合わせると三十路になるし、興味があっても不思議じゃないか。
その後もキャイキャイと話す嫁さん達の話は遅くまで続き、終わった後は満足そうな顔をしてリナさんは帰って行った。
残った俺達も宿の部屋へと戻るのだが、後ろにはもちろんと言っていいのかは分からないがアイリスさんもいる。
あー、そっかー。
今夜もかー。
今日も訓練をみっちりとやっていたはずなのに、元気なことで。
とりあえず、明日の訓練に響かないよう、お手柔らかにお願いします。
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