第590話 言ってませんでしたっけ? 的なお話

身体強化。

魔力を体内で循環させ身体機能を強化するというもの。

多分魔力で細胞の活性化や筋肉や骨が痛まないようにコーティングとかそういうのをしていると思う。

とはいえ、そこまで細かく考えるのはよくない。

イメージが重要ということは、理解しようとして自身でできる範囲を決めてしまうとそこで止まってしまう。

だから、物理的に無理だと思っちゃダメだ。

強化しても火事場の馬鹿力よろしくリミッター解除状態までとか思っちゃダメなんだ。

イメージするのはアレかな?

界◯拳……いや、あれは肉体に負担かかるし別のにした方がいいか。

もうネ◯ま!のジ○ック・ラカンでいいや。

あれどう考えても最強の部類だろ。

あれをイメージしとけばどこまでも行けるだろう。


いやいや、これはマズイだろ!

ふと、あの人がパンツを舐めるシーンが頭に浮かんでしまった。

それは良くない。

イメージするのはあの馬鹿げた強さのみだ。


むぅ………。

魔力の循環、キツイな。

しかもこれ、いずれは魔力量を一定にしつつ行動もしないといけないなんて、キツすぎる。


「ほら、また魔力が乱れてる。もっと手足の先まで行くように意識して!」


キツイ……。

ちょっとでも魔力に乱れがあると即座にアデラードさんから指摘が飛んで来る。


それを約1時間続ける。

流石に何かあるたびに指摘されたので多少は技術が向上した。

したはず。

したということにしておこう。

自分じゃあんまり実感わかないけどさ。


「15分休憩したら次は魔力障壁ね。というわけでポ◯リだっけ? あれよろしくね。」

「あー、はい。分かりました。」


明日からは事前に作っておこう……。

でも今朝の時点で大体の配合率を出してるので今回はかなり楽が出来るし、セフィアも手伝ってくれる。

だから大して時間もかけずに作ることが出来て今回の休憩はちゃんと休むことが出来た。


「はふぅ〜。あ〜癒される〜。」


爽やかなスポドリ風お手製ジュース片手に木陰で休み、時折吹く風を感じる。

今日の訓練を始めてから初めて休んだ気がするよ。

といっても、休憩時間はたったの15分。

しかもお手製ジュースを作ってたから更に短くなっている。

そんなわけであっという間に休憩時間は終わり、訓練を再開することに。


「昨日変化がなくて分かりづらいって言ってからちょっと訓練方法を考えてみたんだ。それで、魔法を使ってみるのはどうかなって。実際に魔法を使いそれを圧縮する事で魔力圧縮のコツを掴めないかと思ってね。」


流石はとこ。

同じ発想だ。


「あの、それだと失敗した瞬間暴発して爆死しません?」

「……………………それもそうだね。ごめん、今のなしで。ん〜、じゃあどうしようかな……流石にステータスを見て魔力の消費量を測りつつなんてことは出来ないだろうし……。」


なるほど。

その手があったか。


「ちょっとやってみます。」

「へ?」


右手に魔力を集中。

俺は魔力操作があまり得意ではないので遠隔ではなく右手そのものに魔力を集める。

それを表面に……。

ひとまず、魔力を30ほど。

障壁にするのはまだハードルが高いし、まずは昨日のシアやルナみたいに空間が歪むような感じに……。

うん。

出来ない。

せいぜい集めるくらいしか出来ないや。

でも、この方向性はいいかもしれない。

どれくらい魔力を使えばいいのかわからなかったけど、これならどれくらい魔力を使っているのかが目に見える分やりやすい。

それに、無駄が減る。


「うん。なんとかなりそうな気がします。」

「本当に? ちょっと僕もやってみよう。」

「私も。」

「え? え? みんな……え?」


あれ?

みんな自己鑑定を持ってるって、言ってませんでしたっけ?

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