第589話 ファイトだ、俺。的なお話

昨日に引き続き今日も訓練。

やることは昨日の魔力障壁もだけど、今日からは午前も訓練をするので、午前は近接戦闘の訓練で午後からは魔力障壁という感じらしい。

キッツイなー。

夜はフラフラになってたりして。


「じゃ、まずは慣らしも兼ねて軽くランニングから始めよっか。」

「「「はい!」」」


それからキッチリ1時間、ギルドの訓練場の周りを走らされました。

全然軽くない……。


「ふぅー。疲れたー。ねぇ風見。昨日のポ◯リない?」

「ポ◯リじゃねぇよ……。昨日作ったっきりで全部飲み干してたろ。」

「えーー!」

「……はぁ。ちょっと待ってろ。今から作るから。」


蒼井がきっかけだが、それを言われた途端にみんなが期待の眼差しでこっちの方を見てきたのだ。

アデラードさんも例外ではない。

そんな目で見られては流石に嫌だとは言えなかったよ。


昨日のは細かい配合とかを記録することなく味を確認しながらだったからな。

とりあえずコップ一杯分の水を出してそこに砂糖と塩、果汁を少しずつ入れていき昨日の味を再現する。

その際にどれだけ入れたかをメモしていく。

うん。

こんな感じだったな。

後はこれを人数分作れば…。


「出来たぞー。」

「待ってました!」

「それとセフィア、これ配合表ね。とりあえず使ったのはカルムの実だけど、いろいろ試してみたりすると面白いと思うから遊んでみたらいいよ。」

「遊ぶって……でもありがと。今度いろいろ試してみるね。」


さて、俺も飲むとしますか。

いっぱい走って汗掻いたし、エネルギーと塩分の補給だ。


「休憩も済んだし、次は模擬戦いくよ。」

「俺全然休めてないんですけど!?」


俺の叫びもアデラードさんには届かなかった。

身体は休めてたと言われてしまった。

精神も休ませてよ…。



その後の近接戦闘訓練も凄まじかった。

まずはペアを組んでの模擬戦。

そこまではよかったのだが、その後アデラードさんとも模擬戦を全員がすることになったのだが、全く歯が立たなかった。

俺も含めみんな果敢に攻めていったんだが、ひらりと躱され、隙を指摘するかのように攻撃されて蹴散らされた。

正に鎧袖一触といった感じ。

更にトドメのどこが悪いかの口頭での指摘で全員ノックダウンし、その結果……みんなギルドの酒場にてダレてる。


「疲れた〜。あ〜もう動きたくな〜い!」

「いや動けよ。というか食えよ。」


蒼井がダレる。

というかお昼も食べない。

自分で注文したくせに。


「お、お疲れ様です、レントさん。私も一緒に食べていいですか?」

「あ、リナさん。勿論いいですよ。」


昨日晴れて俺の恋人となったリナさんが遠慮しつつ聞いてきたので、それを受け入れて席に座るように促す。

するとそこでアデラードさんがリナさんを鋭い視線で見る。


「っ!」

「……………。」


怖い怖い怖い!

何この空気!?

原因は多分俺だけど、でも怖い!


「………はぁ。まあ、仕方ないよね。リナ。これからよろしくね。」

「は、はい!」


なんかよくわかんないけど、丸く収まったらしい。

あの無言の時間に何があったのかわからないけど、藪をつついて蛇どころか八岐大蛇を出すことになるのは嫌なので触れないことにしよう!


一色触発の雰囲気があったがそれもおさまり、なんとか穏やかにお昼ごはんの時間を過ごすことができた。

精神的にはあまり休めてないけど、午後からも頑張れるかな?


「じゃ、午後からも頑張るよ。まずは魔力操作の練習も兼ねて身体強化から始めよう。」


これまた自信のないヤツだこと。

でも弱音も言ってられないんだよなぁ。

昨日のこともあるせいか、アデラードさんが近い。

ファイトだ、俺。

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