第585話 頑張るとしますか。的なお話

お昼が近くなった頃、シア達が部屋にやってきた。

側には顔色が少し悪いレイダさんがいる。


「大丈夫?」

「はい。なんとか……心配をかけまいとしていたのですが、かえって迷惑をかけてしまい、すみません。」

「気にしないでいい。あの人の相手をしたんだから、こうなるのも仕方ないしな。むしろ、全員ダウンしてないだけマシだよ。」

「そうだよ。だから気にしないで。」

「……はい。」

「じゃ、この話は終わりってことで。お昼にしよう。蒼井達を呼んできて。」

「分かった。」


リリンが蒼井達を呼びに言ってくれたので、俺達はお昼の準備をする。

とりあえず洗濯をしてもらうために昨日着ていた服とかをレイちゃんに渡す。

次は……うん。

特にないな。

と、ここでリリン達が来た。


「さて、お昼はどこで食べる?」

「私、まだ無理……。風見居なかったから、薬も飲めてないし…。」


あー。

そういえば、忘れてた。

基本的に俺は酔わないので二日酔いの薬は俺が持つようにしている。

持ってる人が二日酔いとか、泥酔で寝てたりすると他のみんなが困るから。

後は時間停止できるストレージなら有効期限なんてあってないようなものだからという理由もある。

とはいえ、その俺が居ないと今回みたいになってしまうのか。

これはミスったなー。

帰ってすぐに渡せばよかったんだろうが、結構重要な話だったのですっかり忘れてた。

アデラードさんとリナさんの話だから嫁達にしないというのはおかしいからな。


「すまん。すっかり忘れてたわ。とりあえずホイ。あと水も。」

「ありがと…。」

「とりあえず今後のことも考えてアイテムボックス持ちの蒼井とユキノ渡しておくか。それからアイテムバッグの方にも入れておこう。」

「それがいいよ。でも、蒼井ちゃんがこうだと……どこも入りづらいね。」

「そうだな……ま、ここでいいか。ここなら多少は融通は利くだろうし。それと、蒼井は果物とかでもいいからなんか入れとけ。午後からアデラードさんの訓練あるからな。流石に今の蒼井に無茶はさせないだろうけど、それでも何か食っとかないと保たないだろ。」

「そうね……ありがと。」


何かあったかなー?

お、これなんていいんじゃないか、ネタ的に。

………やっぱやめとこ。

スイカは野菜だという返しに最近は果物として扱うようになったっていう悪ふざけを思いついたけど、蒼井とアカネにしか通じないだろうし、その蒼井も今はちょいグロッキーだ。

このネタは覚えてたら別の機会に使おう。

他には……バナナはやめておこう。

吸収が早いって噂だけど、それだと保たないと思う。

ま、無難にアポーとかでいいか。


そんなこんなで宿レイランでお昼を食べてギルドに向かう。

蒼井も薬が効いてきたのか顔色が少し良くなっている。


「よく来たね。」


このフレーズも久しぶりな気がするな〜。

気がするだけでそこまで時間は経ってないだろうけど。


「とりあえず今日は体調が悪い人もいるって事で魔法系を中心にやっていくよ。」

「「「はい!」」」

「今日教えるのは魔力障壁。多少は魔力操作も出来るようになってきただろうしね。」


ごめん、アデラードさん。

全く自信ないです。


「これが出来ると物理もある程度防げるし魔法も防げる。あるとないとじゃ安心感が違うからね。やり方は簡単で魔力を圧縮して障壁にする。ただ、言葉にするのは簡単だけど、結構大変だから注意してね。」


よくある奴だけど、確かにあるとかなり助かるだろう。

でも、圧縮か……圧縮して半物質状態にするのだろうが、出来るだろうか?

多分これが出来ないとダンジョンには潜らせてくれないだろうな。


まずは手のひらの先で小さくやるか。

イメージとしては、な◯はのStr◯kerSで防御を教えてた時の赤髪のちっこい副隊長が実演してた奴だな。

ま、なるようになるしかないし、頑張るとしますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る