第576話 堪能しようじゃないか! 的なお話

「じゃ、全員揃った事だし、乾杯といこっか。」


アカネ達と天装さん達がお風呂から出て、そしてアデラードさんもお風呂から出てきたのでパーティーの始まりだ。


「あの、何故エリーナ様とリナさんが? それに、そちらの方は確か…」

「私が誘った。後、この子は革製品のお店をやってるから丁度いいかなって。防具とか作るんだよね?」

「ああ、成る程。確かランも彼女の店を利用していましたね。」

「そうだけど……何故今?」

「ん? 前の時も呼んだから。」


うん。

確かに前の時も呼んだけどさ、答えになってないよそれ。

というわけで、多分こうだろうなという予想を言う。

もうすぐ恋人になるわけだし、助けるべきだよね。


「多分、あまり広めたくないからだと思います。レックスが出たり、元貴族が国家反逆を企ててたりしたのは普通の人に知られるのは良くないから。」

「いやいや。それならこの人も呼んじゃダメじゃん!」

「この件のきっかけになった時にもレックスが出たっていう話は聞いてると思いますが、その時の皮をアデラードさんは押し売りしたんですよ。だからアイリスさんなら情報拡散を抑えて防具を作ってもらえると思ったんじゃないんかと。」

「うん。だいたいそんな感じ。後は、近いうちにギルドからレックスが出現したからそれを2パーティ合同で討伐したって通達する予定。」

「あれ? それだと他の店からやっかみとかそういうのが出ちゃうんじゃない?」


ランさんがそう言ってふと気付く。

確かにその通りだ。

というか、このままだとやばくね?


「ああ、それなら、みんなが勝手に持って行って防具を作って貰えばいいだけだから。実際、レント達はアイリスさんの所に行ってるし問題ないでしょ。そんな事よりも、さっさと食べようよ。冷めちゃうよ?」

「それもそうですわね。アイリスさん。その辺の話はまた後日。今は料理を楽しみましょう。」

「は、はいっす!」


そんな事って言い方はどうかと思うんだけど……当人達が気にしてないようだし、気にするだけ無駄なのかな。


「そ、それにしても、これまた随分と豪華な食事……わ、私なんかが一緒でいいんでしょうか?」

「いいのいいの。さ、それよりまずは乾杯だよ。みんなグラスを持ってー。はい、かんぱーい。」


リナさんが気後れしてるが、そんなの関係ないとばかりにアデラードさんがさっさと進めてしまう。

料理に使われている食材はレックスとエレクトロブル、それに内陸国であるグラキアリスではあまり出回らない海鮮の数々。

確かに、何もせずに招かれれば気後れしてしまうだろう。

でも、それは最初だけだろう。

何せ、嫁が作ってくれたのだからな。

ウチの嫁達の料理ならそんなの吹き飛ばして夢中にさせるだろうさ。


というわけで早速……まずは前菜であろうこの魚のマリネっぽいのから。

うん。

美味い!

多分これはフランベルさんだろうな。

盛り付けが嫁達と違うし。


前菜なのだろうか、量も少なくあっという間に終わってしまった。

だが、まだまだ序の口。

気付けば料理スキルが進化して料理人となっていたという嫁達と貴族のお抱え料理人の娘が作った料理の数々。

存分に、堪能しようじゃないか!

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