第569話 探してみようかね。的なお話
お昼を食べる店が決まったら早速予約しに行こう。
問題は………誰が行くかだな。
「じゃ、蒼井。予約してきて。」
「なんでよ!? あんたが行きなさいよ。」
「ヤダ。めんどい。」
まあ、こいつならこう言う事は容易に想像できた。
「じゃあ僕が行くよ。」
「いやいや。それじゃ面白くないだろ。というわけで、これで勝負しよう。で、負けた人が予約しに行くって事で。」
昨日あんまりできなかったからな。
だからここでやる。
「へー。で、何やるの?」
「もちろん、ダウト。」
「そう。また負かしてあげるわ。」
「返り討ちにしてやるさ。」
一騎打ちの雰囲気だけど、もちろん全員参加です。
1人行けばいいんで、少しでも行く確率を下げたいじゃん。
というわけで、ダウト開始だ!
◇
解せぬ……。
何故俺が予約のために出かけなければならないのだ?
……………………別に俺、負けてないよね?
敗者は蒼井で、俺はブービー。
でも、蒼井には勝ったしビリになったりしてないのに、なんで俺まで行かなければならないのだ。
蒼井の奴が予約をうまくできるか自信がないから、誰か付き添ってなんて言うから……。
「自信ないなら自信ないって先に言えよな。そしたら別のやり方で別の人が行く可能性もあったというのに……。」
「うっさい! こういうのはいつもお父さんやお母さんがやってたからよく分かんないのよ! それに負けるなんて思ってなかったし!」
「でもなんで俺なんだよ!」
「そんなのあんたがビリ2だからでしょうが。私ばっか狙ってるからよ!」
「それはお前もだろ!」
俺と蒼井は、お互いがお互いをビリにしようとした結果、不必要にカードを溜め込み最後まで残ってしまった。
くそう…。
でも、嫁達に面倒ごとを押し付けたくなかった。
だから他の人を標的にするわけなのだが、アカネはあんなことがあったから狙いにくい。
その点蒼井はなんか狙いやすい。
それで狙ったらこうなったわけなんだが……なんだかなぁ。
ま、いいや。
さっさと予約して帰ろう。
「えーと、ここの本屋の角を右にだったな。………って、あれ? あれって確か、天装の所の……。」
「誰?」
「ああ。蒼井は知らないか。」
蒼井は天装の姫と一緒の依頼を受けたことがなかったし、知らないのも不思議じゃないか。
でも、あの人は一応アデラードさんが名前を言ってたりもしたんだけどなぁ。
そこはやはり蒼井か。
「あの人はフランベルさんって言って、天装の姫の調理師をやってる人。貴族のお抱え料理人の娘さんとかで料理の腕がいいんだよ。」
「ふーん。でも、もう居ないわよ。」
「え?」
「さっきそこの店に入ってったよ。」
「そうなのか……って、その店の名前、俺達が予約しようとしてた所じゃねぇか!」
「え、あ、本当だ。」
まさかこんな所で遭遇することになるとは……。
とりあえず店で予約するか。
「ほれ、行ってこい。」
「私!?」
「当たり前だろ。負けたのはお前なんだし。」
「それはそうだけど……。仕方ないか。……すー、はー。よしっ。すみませーん。予約したいんですけど。」
「いらっしゃいませ。ウェイリーノーラにようこそ。予約ですね。何時頃にしますか?」
「え、あ、12時半くらいで。」
あれ?
そういえば、フランベルさんはどこに?
さっき入っていったばっかのはずなんだけど。
「12時半ですね。何名さまでご来店なさいますか?」
「えーと……。」
予約の方は蒼井に任せるとして、俺はちょっくら、フランベルさんでも探してみようかね。
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