第568話 あるといいな。的なお話
今日も訓練はお休みだ。
だから午後2時にギルドに行くまで時間に余裕がある。
その間何してようかね?
「お昼ってどうする?」
「今食べたばっかなのに、もうお昼の話?」
セフィアの言う通り、朝食を食べたばっかりだな。
でも、これは意外と重要な事なんだよな。
ギルドで食べるのならそこまで時間を機にする必要はないが、ギルド以外だとそれに合わせて行動が変わるからな。
具体的にはお昼を食べる時間が変わる。
まあ、これは別に後でもいいから今言う必要はなかったけど。
「いや、2時にギルドだろ。だから、ギルドで食うかそれ以外で少し時間の使い方が変わるから、聞いとこうと思ったんだよ。」
「ああ、なるほど。確かにそうだね。う〜ん。どうせならゆっくりとお昼が食べられるところがいいかな。」
「そうだな。どうせならちょっと高級志向な所に行こうか?」
「いいねー。それって蓮斗のおごり?」
「ユウキ。図々しい。」
「いやまあ、それはどっちでもいいんだけど。でも、どこかいいところでも知ってるの?」
「いや、全然。でも、その辺はレイちゃんとか、トールさんに聞けばいいかなって。こういう職種だし詳しそうだからな。」
「いいの?」
「偶にならいいんじゃないか? 最近稼いでるしな。」
2回ともレックスと遭遇するというイレギュラーでだけどな。
「じゃあ、ちょっと僕聞いてくるよ。」
「あ、出来れば予約とかできる店でお願い。」
「分かった。」
待つ時間がどんなもんか分かんないからな。
配膳される時間を考慮して食事時間を1時間と考える。
もしも、12時に行って1時間待ちだったりすると2時になってしまう。
かといって11時ごろに行くのも早すぎると思う。
だったら予約すれば待たずにすむし時間の予想もしやすいからな。
「聞いてきたよ。」
「どうだった?」
「予約できる店はそれなりにあるって。で、その中のオススメをいくつか教えてくれたよ。1つ目が専属のアイテムボックス持ちの運搬人を使ってアクリアから新鮮な魚を仕入れてるお店。2つ目がお肉料理専門のお店。3つ目が魔物食材をふんだんに使った迷宮都市ならではの料理を出すお店。4つ目が勇者が広めた料理を専門にしてるお店。5つ目が野菜をメインにしたヘルシー志向のお店だって。」
4つ目の勇者が……ってのはちょっと惹かれるな。
懐かしいというのもあるけど、ちゃんと伝わっているか気になる。
変な感じに変貌を遂げてるんじゃって、好奇心を刺激される。
ただ、産地直送の新鮮な魚ってのもなぁ。
この辺で食えるのって川魚だから、久しぶりに新鮮な海の幸を堪能したい。
よし。
1つ目のにしよう。
まあ、みんなの意見次第だけど。
「俺は1つ目のがいいかな。産地直送、新鮮な海の幸を堪能したい。」
「海の幸……私は絶対1つ目の!」
「私も1つ目のがいいわ!」
「僕はどこでもいいよ。」
「私もどこでもいいわ。」
「私は4つ目のだな。なにせ勇者が広めた料理だ。食べない理由がない。」
「お肉は今日の夜食べる。だから昼は魚がいい。」
棄権2つに1つ目のが4票。
あと1票か棄権があれば過半数を超える。
さあ、どうなる。
「私は可能ならば肉料理がいいですね。」
よし!
これで棄権2、魚4、勇者1、肉1だ。
つまり、多数決的に魚料理の店になるということだ。
「魚料理ってのが一番多いし、1つ目のでいいか?」
「分かりました。」
「仕方ない、か。だが、また機会があればその時は勇者料理の店で頼む。」
というわけで魚料理の店に決定。
新鮮な海の幸と聞けば、どうしてもあの料理を思い浮かべてしまう。
それはアカネや蒼井なのだろう。
日本が世界に誇る伝統料理、寿司。
あるといいな。
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