第554話 騒がないといいけど。的なお話
アカネが倒したというゴリラとゴブリンどもをストレージに仕舞って、と。
結構な数がいるが、本当に、何処にこんなにいたんだろうな。
それも調査しないといけないのかな?
でも、一応馬鹿な元貴族とやらもいるので、そんな足手纏いを連れてやるのは厳しいと思う。
まあ、雇われの身なわけだし、俺の意見なんて通らないだろう。
ここはいつも通りアデラードさんに任せよう。
「回収も終わったし、まずはみんなと合流するよ。」
ナタリアさん達天装の姫とギルド職員の皆さんは今、馬鹿達が拠点としていた洞窟の調査をしている。
アカネの魔法を見たアデラードさんはささっと指示を出した。
その内容は俺、セフィア、リリン、そしてアデラードさんがアカネの様子を見に行き、残った天装の姫の内ナタリアさん、ルキノさん、ランさん、後は盾持ってる人と大剣持ってる人が洞窟内へと調査を、残りの人達はいつの間にか蹴散らされていた(多分ナタリアさん達とアデラードさんが隙をみてやった)馬鹿の配下達を捕縛及び監視、それと魔物が現れた時の対処をすること。
パパッと状況を判断して指示を出すアデラードさんは流石というべきか、ちょっとかっこいいと思ってしまった。
あれが貫禄というものなのかと。
「そっちの様子はどう?」
「こちらは1匹だけ魔物が襲って来ましたが、それ以外は何も問題ないです。洞窟内へと調査に向かったナタリア達はまだ帰って来ていません。」
「そっか。じゃあ、周囲の警戒と監視の人員を交代しつつ休憩しよっか。ナタリア達ならなんの心配もいらないし。何かあったらやばくなる前にちゃんと撤退するだろうしね。」
天装の誰か……名前は知らん! が、報告をして、それを受けてアデラードさんが休むように言う。
それはまあ別にいいんだが、随分と信頼されているんだな。
ちょっとだけ嫉妬してしまう。
それから暫く。
見張りも監視も天装さん達に任せて俺はのんびりとお茶を飲みながら本を読んでいたら、洞窟からナタリアさん達が出て来たようだ。
でも俺は本を読むのに夢中だ。
えぇ!?
ここであの人が死ぬの!?
そんな……ここであの人が死んだら、誰がケインの無実を証明するんだよ!?
やばい!
追っ手が……
「レントー、帰るよー。」
おおっ!
ここで近衛兵長が助けてくれるのか。
あんなにお姫様との恋路を邪魔してたのに、姫様が望まぬ政略結婚を強いられるよりかは幸せになれるから……やっぱり姫様が1番なんだな。
「ねぇー、レントってばー。」
「ん? どうしたんだ、セフィア?」
「どうしたって、アデラードさんがリステルに帰るからレントを呼んでって……少なくとも残党はいなさそうだからって。」
「あ、そうなのか。それで、馬鹿達はどうするって?」
「リステルに連れ帰って衛士隊に突き出すって。」
「そっか。」
本を読んでいる間にかなり話が進んでいた。
どれだけ話してたのか分からないが……聞くのは怖いから聞かないけど。
隊列は来るときと同じでそこに馬鹿達が真ん中に入る形だ。
1番後ろにしていつの間にか魔物に齧られていたなんてやだしね。
別にあいつらがどうなろうと知ったこっちゃないが、それでも自分の側でそんなことになるのは流石にね。
途中偶に魔物が襲って来るが、リリンやランさんがいつの間にかサクッと仕留めていて、俺はそれを回収するだけだった。
…………もうちょっと頼ってくれてもいいんだよ?
「今日はここで休みにしようか。」
昼休憩を挟みつつ歩いて来たが、足手纏いがいるせいか今日中にリステルにたどり着くことは出来なかった。
残念だけど、仕方ないか。
この僕にこんな粗末な物を食べさせる気か!? とか言って馬鹿が騒がないといいけど。
昼もそうだったし、やっぱ言うよね。
はぁ〜。
魔物に聞かれないことを祈ろう。
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